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愛されすぎて泣けてきます。
仕事を終え部屋に帰る。
エレベーターが15階につく。
がーっと音を立てて開いたエレベーターのドアを閉めたくなった。
部屋の前にバッファローが立っていたからだ。
カチカチとドアの閉まるボタンを静かに連打する俺と、
カツカツとヒールの音をいつもより響かせながらこっちにやってくるバッファローとを交互に見ながら侑司があわあわとしているが、それどころではない。
兄ちゃん、何をやらかしたんだ。
漸くゆっくりと閉まり始めたエレベーターのドアが、ガキンとヒールで止められた。
「……ですよね」
またドアが低い音をたてて開く。
「まさかとは思うけど、うちの顔見てエレベーター閉めた?」
ううん、と必死で首を横に振る。
そうよなぁ、うちの気のせいよねぇ、と言いながらもヒールの爪先がイライラと床を叩く。
「はよ入れて。こんな時間に部屋の前で女性一人で立っとかすとかあり得ん」
呼んだ覚えは一切ないが、口に出したら即座にヤられる。
鍵を開けながら侑司が口を開きそうだったのをアキレス腱を蹴って止めた。
部屋に入った俺たちは着替えることも飯を食うことも許されず、リビングに向かわされる。
ソファに座ろうとした俺たちを華さんが無言で制す。
「下」
それだけ言われマットの上に座ろうとすると。
「正座」
またその一言だけが威圧的に落とされた。
お前何かやらかしたろ。
視線だけ告げ侑司を向くと、侑司はぶんぶんと首を横に振った。
「水くさいやない、遥くん」
「えっ俺!?」
ほら〜と言わんばかりの侑司の顔を睨んでから正座している俺たちを見下ろす華さんを見上げる。
「侑司くんのご両親にご挨拶に行ったらしいやない」
うん、と頷くと華さんの顔がくしゃと歪んだ。
「なんで一言ゆうてくれんかったん?うち、お姉さんやろ」
「 」
侑司と二人、開いた口が塞がらなかった。
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