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愛されすぎて泣けてきます。

「いや、あの……」 「薫くんはお兄ちゃん、ならそのお兄ちゃんと結婚!したうちは当然お姉さんやろ?」 ね?ね?と同意を求められその迫力に押され頷くと満面の笑顔で華さんも頷く。 「お姉さんやったら結婚のご挨拶に行くんやったら当然、せんといかんことがあるんやし、そういうことは前もって言うてくれんと」 結婚のご挨拶ではなかったし、 しないといけないことって? 首を傾げる俺たちを見て華さんがわざとらしいため息を吐く。 「親戚付き合いとか面倒くさいことは最初が肝心なんよ。あの時挨拶にこんかった、贈り物がなかったゆうて、ブツブツ言われたないし、長男の嫁!やったらちゃんとせんと」 侑司のご両親はそんな気難しいタイプではない。 一体どんなご両親を想像しているのか。 もう疲れてしまったのか付き合うのに飽きたのか、隣の侑司は欠伸を噛み殺している。 「ご両親に連絡とってるんやって?…大丈夫なん?」 急に声量を落とした華さんが顔を覗き込むように腰を落として俺を見た。 これが真の目的か。 この人は本当に一筋縄ではいかない。 わかりにくい上にまどろっこしい。 思わず笑ってしまった後顔を引き締めて華さんを見る。 かわいいレッサーパンダに戻った顔で華さんがもう一度大丈夫?と聞いたのに、うん、と頷いた。 侑司のご両親に挨拶をしに行った翌々日に両親に連絡をした俺。 四年ぶりの連絡に緊張で力の入った俺の手を侑司はずっと握ってくれていた。 電話に出たのは母さんだった。 ちょうど出かけていた不在の父のことを詫びてから母さんはごめんなさいと電話口で泣いた。 近いうちにそっちに行くよ、と言った俺に、ありがとうと声を弾ませた母さん。 侑司のお父さんが言ったことは本当なのかもしれない。 素直にそう思えた。

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