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俺たち、頑張ります。
リビングのラグの上。
膝を突き合わせるように向かい合って座る。
遥さんは眉を下げ、頭も下げた。
「ごめんなさい……」
いたずらをして叱られている子犬のような濡れた目で見上げられては本気で怒っている訳ではない俺の姿勢もぐずぐずになる。
ここのところ遥さんはぼーっとしていることが多い。
遥さんが実に四年ぶりに実家に連絡をしてから時々お母さんから電話がかかってくるようになった。
内容はこの四年間のお父さんの様子のようだ。
お父さんには内緒のまま帰る日をお母さんと決め、その日が近づくに連れて遥さんは段々とうつろな目をするようになってきた。
「もうしないから…ごめんなさい」
遥さんにもう一度しゅんとしながら言われて遥さんを改めて見つめる。
きゅんと眉を下げ濡れた目を揺らしながら俺に許しを乞うようにじっと見つめている。
…………可愛い。
「一度着た服は洗濯するんですからクローゼットに入れちゃダメですよ」
「……はい」
おいでと手を広げるとぱあっという音が聞こえるみたいに顔を輝かせて俺の膝に跳び乗るように座り首に腕を回してぎゅうと抱き着いた。
「帰る日、薫さんも来るんでしょ?」
「ん、そう言ってた」
首筋に頬が擦り付けられる。
「俺も、行ってもいいですか」
沈黙なのは考え込んでいる時。
答えを貰えるのを遥さんの髪を撫でながら待った。
「聞かなくていいこと、聞くかもしれないぞ」
「それでも」
俺の知らないところであなたが傷つくかもしれないなら離れているのは嫌なんです。
「俺は遥さんのものでしょ?なら、側にいさせてください」
「………うん」
遥さんの声が甘くなる。
「仲良し、しますか」
「……なんでわかんの」
拗ねたような声に変わった遥さんに笑ってしまいながらも赤くなった耳朶を舐めた。
「遥さんのものですから」
「ぜんぶ?」
顔を離した遥さん。
誘うようにまた変わった声と表情に誘われるまま手を細い顎に滑らせた。
「もちろん全部です」
遥さんの手が俺の襟足から胸、胸から腹にゆっくりと降りていく。
これも?と聞かれ触れられたのは誘うような目だけで反応し始めた股間。
「それも、です」
「じゃあ、好きにしていいよな?」
ニヤリと口の端を上げて妖艶に微笑む遥さん。
「一生遥さんの好きなようにしていいですよ…」
目を伏せて近づく俺の頬に遥さん指が触れる。
初めて触れたあの時から少しも変わらない気持ち。
むしろ愛しさやいたわる思いは増えている。
そっと唇を合わせながら思う。
俺の全てでこの人を守りたい。
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