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俺たち、頑張ります。
遥さんの実家へ向かう薫さんの車の中。
遥さんと俺は後部座席に、薫さんは当然運転席に。
そして、その隣の助手席には……バッファローが座っていた。
助手席でペットボトルのお茶にストローを差し入れたバッファローはニコニコしながら薫さんに渡し、
後部座席の俺達にはお茶やコーヒーの入ったレジ袋を無言で差し出す。
「あの……なんで華さんも行くんですか」
恐る恐る聞いた俺の後頭部が遥さんに叩かれる。
「なんで……?」
口は災いの元。
わかっていたのにまたやってしまった…
「薫くんの妻!のうちが行かんとか、そっちのが謎やわ。しかも、しかも!今日の今朝まで黙ってるとか」
ありえーん!と震えながら怒る華さんは間違いなくバッファローだ。
薫さんが前を見ながらよしよしと華さんの髪を撫でるとバッファローは途端にレッサーパンダに変わる。
「楽しいことじゃないから言わなかったんだ。嫌な思いしてほしくないから」
薫さんの言葉に隣の遥さんの身体が強ばる。
大丈夫です、と口には出さずに手を握ると心許ない笑みを返してくれた。
「うちのおるとこではイチャイチャ禁止」
なんて居心地の悪い車だ………
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