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俺たち、頑張ります。

遥さんの実家は思っていたよりずっとかわいらしい建物だった。 赤茶色の煉瓦を積み上げたような1階の外壁に2階部分はベージュの壁、その壁には蔦が這い伸び伸びと育っている。 ポーチの左側には庭が見え、そこには花こそ咲いてないもののたくさんの植物が見えた。 うさぎやらりすやらの動物の置き物が置かれた可愛い庭、お母さんの趣味だろうか。 玄関が開き、お母さんが顔を見せる。 遥さんを見て一瞬輝いた顔はすぐに曇り、お父さんがいるのだ、と知らせていた。 ぞろぞろと玄関に入るとお父さんが腕を組んで立っていて、睨むような険しい顔で俺達を見ていた。 「何しに来たんだ。もうこの家には帰ってくるなと言ったはずだ」 正さん、とお母さんが掛ける声にも反応を返さず、お父さんは遥さんと俺から視線を外さない。 「誤解を…解いてほしい」 遥さんの声が静かに放たれた。 その一言にどれほどの思いが込められているか、どうか、どうか汲み取ってほしい。 「何の誤解だ。全てお前自身が招いた事だ。誤解なんぞあるはずもない」 押さえつけるような物言いにそこにいる全員が言葉を発せずにいた。 「結婚を考えていた女に浮気された挙句、その浮気までお前が脅迫しただのとのたまうろくでもない女、そんな女を選んで結婚しますと宣言したのはお前だ」 お父さんの低く重い声が嫌でも腹に響く。 「あれに懲りて大人しくしているかと思えば今度は何だ、男と帰ってくるなんぞ、ご近所のいい晒し物だ。女に見向きされないから男なんぞに走るんだ。親に孝行したいと思うなら、俺が適当な女を見繕って見合いさせてやるからとっとと身を固めてしまえ」 いつの間にか握っていた拳をさらに握り込んだ。 この人は本当に遥さんの、二人のお父さんなのか。 人の気持ちなんてまるで汲み取ろうとしない、こんな人が。 「嫌です」 遥さんの声がハッキリとそう告げた。

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