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MAGIC BOX

「……っん、あ、いきなり……んっ」 「だめ、散々待った」  怜の唇が俺に重なって迅の腕が服をたくし上げて素肌に触れる。風呂に入っておいて正解だった。腹くくって、ちょっとばかり期待……してたなんて絶対教えないけど。 「拓海くんこっち、背中。ん、おいで。体重かけていいから、キスしよ」 「怜、自分ばっかずるい。じゃあ、俺はこっち。あ、拓海くんちょっと立ってる。かわい、期待してた?」 「んあっ、や、してなっ……んんっ」  怜の細い指が腹筋を撫でて胸元へ向かう。唇は解放してもらえず、息を吸うのが精いっぱいで舌は翻弄されっぱなしだ。乳首をつままれて背中が跳ねると、貪るようなキスが止んで、怜の喉からくくくっと笑いが漏れた。  よっつの手が体を這う、発火したように熱くなる体をどうにかしてほしくて身を捩ると、スウェットと下着が一度に下ろされた。  そのまま足の間に迅が入り込んで俺の性器を弄り出した。吐息を分け合うキスと、淫らに乳首をこねる指先、先走りでくちくちと音を立てて扱かれる性器。  どれを咎めたらいいのか、一度に与えられた刺激が多過ぎて頭が混乱して抵抗出来ない。 「ん、あっやぁ……んっやだ、あっ、はあ、んっ!」 「かわい、どんどん出てくる。このままじゃソファ汚れるんちゃう?」 「あっ、だめ……んっよごすなっ……あっ二人がくれた、ソファなのっに……んぁ!」 「拓海くんあんま煽らんで。二人相手すんの自分やで」  迅がニヤリと笑う。その次の瞬間、ガチガチに立ち上がった性器が熱く柔らかい何かに包まれた。 「ああっ、や、だめっ。それ、だめ……でちゃ、すぐちゃうから……あっ、いいっひゃ、ん」  じゅぶじゅぶと音を立てて吸われるのを直視出来るはずもなく、顔を背けると待ってましたとばかりに唇を奪われる。体を捩ったのをいいことに、Tシャツも脱がされ俺だけが全裸にされ体をいいように弄られている。 「えろ……拓海くんやばい。はあ、これからはずっと俺たちのもんなんや」 「あっ、んんっ。今までだって、そうだったろ……あっ、お前たちのマネージャーになってから……んっあ! ずっと俺が、はぁ、一人なの知ってる、くせに……っ!」 「ふはっ、そうなるようにしてたからなぁ」  やっぱり、と睨みつけても効果はゼロだ。 「怜、拓海くん膝に乗っけて。膝持って」 「あ、ローションは? 先に一回イかせてあげた方がええんちゃう?」 「いや、ギリギリにしとく。拓海くんきっと才能あるからトコロテンも夢じゃないよ」 「おいっ、あっやめ……こんな格好やめっ、おい」  あまりにも無防備な恰好にされそうになり、抵抗するものの顎を掴まれてキスで塞がれる。くちゅくちゅといやらしい舌が俺の抵抗をじわじわと奪っていく。その間も怜の手はずっと乳首を弄っている。先端を押し潰したかと思いきや親指と人さし指で挟みくにくにと捏ねられる。  口からは解放されたものの、今度はぬちゃりとぬめりをまとった指が後ろへ宛がわれ塗り込めるようにふちをくるくると撫でている。  ローションでつるつると滑る指から快感を拾い始めたのを合図にその指先がぷつりと中へ侵入する。ぐちぐちと少しずつ出し入れをして、少しでも緩めばその隙を逃さないように更に指が重ねて入れられる。  体中いろんなところに与えられる快感に、息は切れ切れになり、抵抗どころか喘ぐのがやっとだ。 「そろそろ、いっか。拓海くん、ちょっといい?」  快感に身を委ね揺蕩っているとぺちんと頬を叩かれ意識を強引にはっきりさせられる。真剣な顔をした二人が俺をじっと見つめる。自分の心臓の音が聞こえそうだ。 「拓海くんは優しいから、きっとよう決めきらんやろ? 俺たち、何べんも話し合って決めた。拓海、俺と結婚して」 「怜の嫁さんになるってことは、俺とも家族んなるってことだよ。んで、拓海くん。今から俺は拓海くんを抱く。いい?」  いつもあんなに自信まんまんで俺のことを振り回し放題するくせに、犬が耳を垂らすように二人が不安気に俺を見る。ずるいだろ、俺が二人のそういう顔に弱いの知ってるくせに。  大きく息を吐いて気合いを入れる。 「いいも何も、もう決まってんだろ。逃げないし、逃がすつもりもないくせに。それとも今更弱気になったか?」  拓海くんには叶わない……顔を見合わせてそう笑った顔は、一位を取った時よりも紅白出場が決まった時よりも、うんと嬉しそうだった。  迅がばさばさと服を脱ぎ捨てる。最近はもっぱら執筆活動がメインのくせに、いい体は健在だった。キレイに割れた腹筋と血管は男の俺すら見惚れるような美しさだ。その体の中心には腹につきそうなほど立ち上がった性器が先端をてらてらと光って俺の中に入る時を今か今かと待っていた。  べろりと舌なめずりをした迅は、朝から晩まで部屋に籠ってペンを握ってるとは思えないほど色っぽい。半分だけ結んだ髪をほどいて、まとめて一つに結び直した。  髪で隠れていることの多い首筋には、怜にはない黒子がある。久しぶりに見た男らしい首筋とぽつんとある秘密の黒子に釘付けになっていると、腰を掴まれ迅の方へ引きずられた。  ぐるりと世界が回り背中にいたはずの怜を真下から見上げる形になった。俺はそっとその頬へ手を伸ばし体を持ち上げてキスをした。捕食し合うように深く。 「んっ、あ……んっんちゅ、はっ」 「これから入れるって時に怜とキスなんてして、妬けるやん。ほら、俺のこと見て?」 「あ、っごめ、んんっ……あっあっ、はいって、くるっ」  膝裏を掴まれ腰が浮く。ぐちゅぐちゅに濡れ慣らされた後ろに迅の熱く固い性器が差し込まれた。 「可愛い……拓海くん、ほら力抜いて」 「あっ! あっあああん、やぁっ、むり……ああああっ!」  キスをする俺たちに妬いた迅が少し乱暴に入ってくる。  時間をかけて慣らされたとはいえ、初めての衝撃に体ががくがくと震える。雷に打たれたように全身に稲妻が走る。いつまでも止まない快感の波が思考を奪っていく。縋るように怜に抱き着くと、逆効果だったらしい。ふうふうと荒い息を吐きながら迅が腰を動かし始めた。 「ほらっ、んっ、トコロテン。拓海くん入れただけでイくなんてやっぱり才能あるやんっ! はぁ、ん」 「あっ、うそ、だ……や、あんっ、なんでっ」 「ぴゅうって可愛かったよ、めっちゃえろかった」 「はずかし……ああっ、ちょ、はげし……んっ、いやあっ、んやっ」  可愛いよ、と耳元で囁いたのは怜だった。それすらぞくぞくと快感に変わる。全身が性感帯になったというのに、驚きもせず受け入れている自分に一番驚いた。 「舐めて」  怜の指が差し出され、俺は舌を伸ばした。喘がされて飲み込むタイミングを失った唾液をじゅるりと塗り付けて口淫するように舐めしゃぶる。唾液でふやけやわらかくなった指はちゅぽんと口から抜き出ていった。そしてぴんと立った胸の先端を摘まんで弾く。 「はあ、えろ……あかん、怜がなんかする度ナカ締まってもってかれそうになる」 「んんっ、あっ、やぁっ、んっ……ああっ」 「ほな、拓海くん俺と一緒にもっかいイって? 俺のでめっちゃ気持ちよくイったら、今度は怜に抱いてもらい、はぁ、んっ」 「あっあっあっ、や、はげしっ……ああっ!」 「拓海くん、手貸して。わかってても迅ばっかずるい」  俺の頭をそっとソファのひじ掛けに下ろして、怜が床に膝立ちになる。俺の手を取って誘導する先は血管が浮き出るほど立ち上がった怜の性器だった。ガツガツと揺さぶられ理性なんてチリほども残っていない。熱くて固い性器にふらふらと引き寄せられるように、俺は口を近づけた。 「っ! 拓海くん、無理せんでいいよ」 「んっんぶ、あっ、んっっあ゛っ、怜もよくなって、俺で……んっ」 「拓海……んっ、きもちいよ」 「ん゛っんっ、あ、はぁ、んっ……ふっん、うう……うっ」 「おー、えっろい顔。俺にもあとでしてな。怜、いつまでも入れてると噛まれるよ。拓海くん、ラストスパートいくで」 「あっあんっ、はげし、んんっ、あっ! ひぃ……やっ、いいっ、きもちっ、あんん、ああっ!」  ぎりぎりまで抜かれ、思い切り奥を抉られる。喘ぐことも出来ず、噛まないように口を開けているのが精いっぱいになる。焦れた怜が喉の奥に捻じ込んだ。  えずくことも出来ずに喉を開く。ぐぽぐぽといやらしい音が脳内に響く。二人に犯されてるのを全身で感じて、もっともっとと欲しがるように体が跳ね上がった。 「遠慮してたくせにいきなりイラマとは……怜えっぐ」 「咥えてんのわかってて前立腺ばっか抉ってる奴に言われたないわ。噛み千切られたらどうすんねん」 「あっ、んんっや、くるしっ! あっ、あっイく、なぁ、でちゃう、もだめ……迅もっ、怜もイって、ああああっ」 「んっ、奥の奥にしっかり出したるからな、はあっ、ん、イく……っあー、きもち、最高……」 「拓海くん、目閉じて。えっろい顔にかけるよ、はっ、んんっ」  奥に塗り込めるにゆっくりと動いていた性器がずるりと抜け出る。その刺激すら全身をぶるりと震わせる。  恐る恐る目を開ける。精子は頬と口の周りに吐き出されていた。それを舌で舐め取る。頬の分は指でかき集めて。自分に向かって出された欲を拭いて捨てるなんて勿体なくて出来なかった。 「お掃除、して?」  唇にそっとあてがわれた怜の性器を咥える。中に残った精子まで吸い上げてキレイに舐め取る。よく出来ましたと、うっとりとした顔で頭を撫でられた。 「んじゃ交代」 「拓海くんこっちおいで。俺の脚跨いで座り」  迅に腕を引かれ起こされる。腹に力を入れるとどろりと尻の間を何かが伝った。ぎょっとしつつその正体がすぐにわかった俺は顔を熱い顔を隠すように俯いた。  声を上げなくてよかったと、気付かないフリをしたつもりが姿勢を変えようとした瞬間、迅と目が合った。その顔は一部始終を見ていたと物語っていて、羞恥に耐えかねてその鼻をぐいと抓っておいた。 「いたっ、拓海くんひどい」 「やらしい顔で笑うお前が悪い」  ケラケラと笑い合う間に、あれよあれよと体は持ち上げられ怜に向かい合うように跨っていた。 「拓海くん、たくみ……ずっと好きだった。小さい頃からずっと。ここまで頑張ったのは拓海くんの為や。褒めてもらいたくて認めてもらいたくて、好きになってほしかった。ねぇ……拓海。  俺たちと結婚してくれる?」 「……いいぜ。その代りケンカはなしだ」 「勿論だよ。拓海に悲しい顔はさせない」 「約束する」

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