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KNIFE THROWING

 昨夜の本多を必死に思い出す。自分に犯されて悦がっていた。シーツがべちゃべちゃに汚れているのはどう見ても自分だけの量じゃない。いや、シーツが汚れてる?  そこでやっと自分がゴムもつけずに抱いたことに気が付いた。 ──俺最低だろ。  中に出して、それが溢れるまで抱いた。これが事実だろう。  でもそれにしても多過ぎる。彼のものに触れた記憶はない。そもそも他人のちんこをいくら酔っていたからといって、ノンケの自分が触れるだろうか。ガキじゃあるまい。  慣れていた。俺がじゃなく、本多が。  ぐるぐると悩んで出した結論はその一言だった。  じりじりと心の底が焼き付くのを感じながら、とりあえずこのままでいいはずがないと一旦それは置いておくことにした。相手が本多だからだろうか、普段は絶対にしない中出しをした。すまん、そのことについては素直に謝るしかない。ぐうぐう眠る本多相手にベッドの上で土下座した。  そして、精子をそのままにして体にいいはずがないことはいくら瀬田でもわかる。スマホを操作し男同士のあれこれについて調べると、掻き出して中を洗わないと人によってはお腹を壊すらしい。  さすがに同じ男の本多を風呂場に連れて行って洗ってやるのは無理がある。ましてやホテルのユニットバスじゃあちこちぶつけて怪我をしかねない。  今出来ることをしようと、うつ伏せで眠る本多に近寄った。  顔が枕で潰れて、唇が少し尖っている。そのちょっと開いた隙間からたらりと涎をこぼしながらくうくうと眠る姿に、可愛いなと思うあたり、もうだめなのかもしれない。  セックスが好きなことは否定しないが、手あたり次第誰でもいい訳じゃなかった。自分の意思で本多を抱いたことは明白だ。  新たな扉を開いてしまったことに自嘲しつつ、うつ伏せ寝は苦しかろうと姿勢を変えてやる。ぎゅっと握った枕から指を一本ずつ外して頭を支えながら引き抜いた。んんん、と身を捩ったことで本多が自主的に体を動かす。シーツの上を四肢が滑り、幼子のように体を丸めその姿勢が落ち着いたのか、またすうすうと寝息を立て始めた。  体を丸めたことで、下半身が強調される。どれだけの力で掴んだのか、本多の腰は赤く瀬田のであろう手形がついていた。ごめんと小さく呟いて腰を撫でると艶めかしい声が上がった。ちょっと勘弁してほしい。散々抱いてすっきりしたはずの体がまた熱くなりそうだ。  本当本多は俺をどうしたいんだろう。生殺しなんだけど……って違う。本多はどうしたいんだ。なかったことにしたい? それとも一発殴りたいって言うだろうか。  なんとか心を無にし、バスルームで濡らしたタオルを強く絞った。それを持って眠る本多の足元に腰をかける。 「掻き出すってどうやんだよ……ってえろ……あーっもう!」  とろりと、本多の尻の合間を白いものが流れた。どれだけ出したのか。シーツについても尚とろとろと流れ続ける様に理性が焼き切れるのは仕方のないことだった。  腕を引っぱって、仰向けにすると同時に両膝裏に手を入れた。  脚を開いてその間に体を捻じ込んで、本多の頬をぺちぺちと叩く。

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