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FLYNG TRAPEZE

「結構イケてたよな」 「ん、うまくて結局食べ過ぎた」  二人で膨らんだ腹をさすりながら店を出る。とりあえず当てもなく歩き始めたものの、次の予定は決まってない。央樹を伺うように視線をやると、にやりと嬉しそうな顔で俺の手を取って指を絡めた。 「ぶんちゃあん、ホテル行こう」 「いやいやいや、お前制服だろ。いくら男女で卒業してたとしても止められんじゃないか?」 「コートの前閉じればわかんないって。な? 行こう?」  普段ですら友達の距離じゃないと指摘されているのに、今日は堂々と手を繋いで歩いた。  それが俺を刺激したなんて認めたくない。仕方なく、央樹に押し切られるフリをして、引かれる手についていく。きっと央樹はわかってるくせに、揶揄って来ないところが不気味だ。きっとあくどいことを考えてるに違いない、そう思うのに素直について行く俺も俺だった。  スマホを片手に、細い路地を歩く。下調べまでしてたなんて、計画的過ぎるだろう。結局俺の心配は徒労に終わり、無人の受付を通り過ぎて俺たちはモールのエレベーターとは比べものにならない小さく暗い箱に乗り込んだ。  さっきは掠めるようなキスだったのに、今度は全く違った。央樹の手が俺の首に回り、強引に奪われる。舌が捻じ込まれあっという間に俺の舌が引きずり出された。 「ん、ちょっ、も……着くぞ」  俺の制止と同時に安っぽいベルが鳴って目的の階に到着した。央樹は何も言わない。  ちかちかとランプの光る部屋に入って靴を脱ごうとした瞬間、後ろから強く抱きすくめられた。 「あー、やっと抱き着ける。女の恰好だと逆にじゃれて抱き着くってのが生生しい気がして出来なかったんだよね。あー。文ちゃんの匂いだ……くんくん……はあ、めっちゃ興奮する!」 「嗅ぐな……! ってか、そこは落ち着く、だろう!」  人の匂いを警察犬のようにあちこち嗅いで、興奮するとは何ごとだ。おんぶおばけのようにくっつく央樹を何とか剥がしてスリッパを履いて部屋の奥へと進む。  さすがラブホ……。  部屋のど真ん中にどどんと大きなベッドがあってガラス張りの風呂はここから丸見えだ。いつもどちらかの家だった。初めてのラブホに俺は驚きつつ若干引いていた。 「ぶんちゃあん」  ベッド横に立ったままの俺をいつのまにかベッドに腰かけた央樹が呼ぶ。  コートはソファに脱ぎ捨てられてセーラー服姿だった。見るからに動揺する俺の手を引いて隣に座らせると、そのまま向かい合って俺の膝へと跨ってきた。 「風呂は最後な。どうせ文ちゃん入ってきたろ? 俺もだし、このまましよう」 「えっ⁈ お前脱がないつもりか……」 「ン、今日はこのまましよ。女の子の俺にあれこれされて泣いちゃう文ちゃんを見るために着てきたんだもん」 「お前なぁ……ん、ぁっ、ちょ……」  にやりと笑った央樹の顔が近づいて唇が重なる。ちゅっちゅっと音を立てたのは数回ですぐに舌が入ってきた。  くちゅくちゅといやらしい音を立てて食べ合うようなキスが続く。央樹の手が裾から俺の肌をまさぐるのと同時に俺もスカートの中に手を入れる。下着の隙間から手を入れて硬くなり始めたそれをくにゅくにゅと遊ぶように揉むと、央樹が低く唸る。反撃だときゅっと乳首がつままれて、腰までぞわりと快感が走った。 「んんっ、あ……央樹、そこだめ、あっ」 「んっ、可愛い文ちゃん。もうこんなんなって……女の子の俺にしゃぶられてお尻に指入れられてガチガチにしてるの?」 「っるせ……お前だってスカート持ち上がってんぞ。あ、はあっ、も、だ……出るから離せ、ひあっ」  自分で言っておいて、じゅぼじゅぼとしゃぶる口が離れたのが名残惜しい。  右手がラストスパートをかけるようにごしごしと扱き始め、尿道を舌先で抉られる 「ん、そのまま出して、セーラー服にかけていいよ?」 「あっ、あああっでる……んあっ、はあ、はっ……」  びゅるるっと飛んだ精液がべったりとセーラー服を汚す。央樹がそれを嬉しそうに眺めるもんだから、いたたまれなくて目を逸らした。 「じゃあ次は俺を気持ちよくして? えっちな文ちゃん見てたらこんなんなっちゃった。  文ちゃん、四つん這いになって、こっちにお尻向けて」  汚れたセーラー服の央樹がうっそりと俺に笑いかける。スカートを両手で持ち上げて現れたのは、先走りでびしょびしょに濡れ、血管が浮き出るほど立ち上がった凶器だった。ごくりと喉が鳴った。  俺だけが裸なのは気に入らない……気に入らないが、もう後ろが疼いて疼いて仕方ない。それで突かれる気持ち良さをこの体は知っている。残り僅かの理性はあっという間に屈服し、俺はベッドに手のひらと膝をついた。

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