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第28話 次々

 キスで、唇溶けそう。 「ン、ん……ン、ぁっ……ふ」  部屋の真ん中で立ったまま、引き寄せられた腰に当たるそれに、当たっちゃう自分のこれに、ものすごい困りながら。 「ぁっ……こ、た……ンく」  恥ずかしい。ゴクンって喉が鳴っちゃった。それに唇もびしょ濡れ。 「柚貴、平気そう?」 「?」 「こういうキスとか、キモかったり、しない?」  公太の唇も濡れてた。  心配してくれてるんだ。俺が前にキスとかに引いちゃったこと。そういうことに嫌悪っぽいものを持っちゃってるんじゃないかって。 「柚貴? あの」  大丈夫だよ。だって、背中のとこ、ゾワゾワってするけど甘い感じのなんだ。甘くてくすぐったくて熱くて、じっとしてられなくなる何かが駆け上がってくる。 「キモ、いわけない」 「……」  それにさ。 「だって、ずっと、公太とこういうこといつかできるかなって。その……したい、なって……」  引くどころか嫌悪どころか、ずっと、考えたんだ。この前、公太の部屋で二人っきりになった時もだし、すぐにじゃなくても、そのうちするのかなって。  セックス、するのかなって。 「こっ、公太こそ! 大丈夫なわけ? も、元々は女の子が好きだったのに。俺と、エッ……エッチな、ことするのとかさ、できんの? あの、公太のを、俺の、そのお尻んとこに挿れるんだよ? キモって、なったりとか、っわぁぁぁっ!」  びっくりした。ベッドに押し倒された瞬間、たくさんしゃべってた俺は口から心臓とか肺とか色々出てっちゃうかと思った。 「あんま……煽らないでって、言ったじゃん」 「こっ……ン、んん」  舌を差し込まれるキス。ベッドの上で、そんで、そこが硬くて、絡まる舌がエロくて。 「それに、柚貴、される側の前提なんだ?」 「! だ、だだだ、だって」 「なんか、めちゃくちゃエロい」 「あっン」  ベッドに貼り付けにされながら、額同士をまた触れ合わせて、熱い溜め息をつかれながら、股間のとこぐりぐりってされたらさ、胸のところがじわりってした。だから、ほら、また変な声が出ちゃったじゃんか。 「して、いいの?」  なんだよ、もう。 「柚貴」  額を摺り寄せて、まるで猫みたいに甘えたりして。なんか、ちょっと愛しいじゃん。 「い、よ。けど」 「けど?」 「裸、見て、引かないでよ? そのっ、全然っ」 「……だからさ」  女の子じゃないんだからな。胸なんてないし、骨っぽいし、なんだったら器械体操やってるから、細いけど、全然柔らかいとこなんて皆無なんだぞ。 「だから、あんま煽らないでってば」 「あっンっ」  覆い被さられて、首筋に吸いつかれて、男なのに女の子みたいな甘い声が零れてた。 「あっ、ぁっ……ン、ぁ、んんっ」  乳首にキスされると背中がビリビリする。摘まれるとちょっと痛くて、でも、そんなとこを公太の指にいじられてるって思うと、ちょっと、気持ちいい。 「あンっ」  嘘。ホントはめちゃくちゃ、すごく気持ちイイ。 「柚貴」 「あ、ンっ……ンんんっ」  そそり勃ってるのを扱かれながら、乳首を食べられるみたいに口の中ですっぽり包まれて舌に濡らされると、たまらなくなる。 「あぁぁぁあっ」 「痛い?」 「っン、ぁ……違、う」  変なんだ。乳首も、今握られてるそれも。 「俺、初めてなのに」  ベッドの上であお向けになって公太の下に隠れてるけど、裸でさ、いっぱいキスされて、反応しまくってて、すごい恥ずかしいのに。めちゃくちゃ緊張してるのに。 「すごい、気持ちイイ……よ」  なんか弄られてもくすぐったいだけ。なんか違和感とかがすごかった。緊張して全然身体が追っつかなかった。あんま気持ち良くなかった――そんなたくさんの初体験談をネットで読んだんだ。 「こ、た……は?」 「……」  少しだけ上体を起こして、上に覆いかぶさる公太に唇を寄せた。公太が俺を見つめながら何度も喉が渇いたみたいに唇を噛み締めてたから、ぺろって、ちょっと舐めて、キスをした。そんで少しだけ唇を啄ばんでから。 「平気? その、萎えてない? 俺はしたいけど、もっとすごいこと、まだ、お尻んとこ、準備とかもあるんだ」  そう尋ねたんだ。 「できそ? もし、萎えてたら、その」 「大変恐縮なんだけど」 「?」  俺の肩のとこ、さっきたくさんキスされた首筋に前かがみになった公太が顔を埋めて、ものすごく熱っぽい溜め息をそこに零した。耳が濡れちゃいそうな熱の滲んだ溜め息で、たったそれだけでも俺はたまらなく切ない気持ちになってっちゃうんだけど。  公太は、どう? 「痛いくらいに」 「え? あの、だいじょ」 「張り詰めてるので、あんま、追い詰めないで」 「……」 「お尻の準備とか、ホント、困るから」 「だ、だよね。俺もあんまわかってないけど、するから、ちょっと待っ、んっ……ン」  公太は、どうですか? 「ン、あっ……ぁっ、んんんっ」 「なんか」 「?」 「むしろ暴発しても、全然、余裕かもって思った。何度でも復活できそう」  俺と、セックス、できそうですか? 「ゆっくりやるから。ローション、で、ちゃんと柔らかくするから」 「……」 「だから、あんま煽らないでね。煽ってもいいけど、できたら、あんま可愛いこと言わないで」  言っても、いいかな。あのね? 「あ、えっと、公太」  俺は、公太と、セックスしたくてドキドキしてます――そう、そっと告げた。

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