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第29話 さぁ、いたしましょ。

 最初、違和感がすごかった――これはネットの通りだった。 「あぁっ……」  苦しくてって、書いてあったのも、その通りだった。 「ぁ、ンっ……公太、ぁ」  でも、苦しいのに、違和感あるのに、気持ちイイなんて思いもしなかった。 「柚貴」 「ン、ぁっ……」  公太に名前を呼ばれると嬉しくなる。おっかなびっくりで俺の中に入ってきた指に、俺もおっかなびっくりでさ。  ――ローション、こんくらいかな。  ――た、たぶん。  ――垂れそう、柚貴、タオルとかある?。  ――ぁ、うん。  ――敷いとこ。  どっちも初めてだから、あたふたしてるのに。 「あっ!」 「柚貴?」 「ぁ、何、今の」 「?」 「ビリビリした」 「? ここ?」 「ひゃああああっ」  すごいしどろもどろなのに、心臓破裂しそうなくらいドキドキして、そんで公太が好きで好きでたまらないってなったまんま。ふわふわでちっとも戻って来れそうもない。 「ここ、好き? 柚貴」 「あ、わかんなっ、ぁ、あっ、あっ、あぁ!」  恋しいのが止まんない。 「やぁぁぁっン、中、ン、ぁっ」 「これ?」 「ひゃアアア、ぁ、ぁ、ダメっ、そこ」 「うん」  頷いてくれるのにちっとも手は、指は止まってくれない。中を掻き混ぜて、さっきのビリビリをもっと的確に指先でなぞるんだ。おかしくなりそうなくらい身体を気持ちイイのが通っていく。 「今、三本」 「う、そ……俺、そんなに」 「うん」 「公太が中にいるの? ぁ、けど、大丈夫? その、お尻に指とか、萎えて……な……い」  よかった。萎えてない。けど、でも、すごく、痛そ。 「こ、た」  これ。すごく硬くなってる。 「指、もう、平気。って、あれ、まだこのサイズは難しいかも、だけど、その、大きい、から」  これも煽ってることになる? 公太がすごくきつそうにしかめっ面をして、何かを喉奥で飲み込んだ。怖い顔してんのに、ちっとも怖くなくて、むしろ可愛くて、パンパンに張り詰めたそれの先んとこを掌で撫でながら、また息を詰めた公太の眉間にキスをした。 「ゴム、してさ……もぅ、しよ?」  公太のガチガチで痛そうだし。それに。 「実は、もうちっとも苦しくないんだ。っていうか気持ちイイから、たぶん、大丈夫」  俺も、したいから。 「お尻んとこ、ちゃんと気持ちイイよ?」  指が抜ける時、自然と声が零れた。きついんでも、苦しいんでもなく、甘えた声。子どもみたいな声だった。だから、きっと、入るよ。 「公太、ゴムの付け方わかる?」 「ここ、摘んで、そんで、くるくるって」 「え、なんで知ってんの?」 「え? だって、書いてあるだろ」 「あ、ホントだ。毛、巻き込まないようにだって、待って、ちょっと」  気持ちイイのが勝っててさ、忘れてたけど、右手使えないんだった。左手で、毛、大丈夫? って、指を添えて手伝ったんだけど。だって、こんなのに毛巻き込んだら痛そうじゃん。それだけで萎んで、続きできなくなりそう。そしたら、ヤだし。続きできないの。って、なんか、今すごいこと考えてるけど。続きしたいとか、萎まれたらやだとか、かなりその、あれだけど。 「な、けどさ、これ、どこまでクルクルって下げればいいんだろ」 「え? そんなの……普通に……」 「だって、これ、公太のすごいじゃん。ここまで大丈夫かな。長さ、あの、いいのかな」 「さ、さぁ」  たどたどしい左手でできることなんてたかが知れてる。それにすごいめちゃくちゃ普通に会話してた。ホント普通に裸同士で、セックスする直前とは思えないくらい、まるで教室のお隣さんと会話してるノリで、すごいことしてるのに。 「って、ご、ごめん、俺、邪魔してた?」 「いや……」  慌てて手を離そうとしたら、ぎゅって握られた。今、ゴム付けるのを手伝った公太のと、一緒くたに。 「邪魔、どころか、すごい、来た」 「公太」  普通の感じで、二人でぎゅってしながら、公太のにゴム付けるのにあれこれ話して。色気のない会話。それなのに。 「もし、痛かったら言って。そしたら、ちゃんと止めるから。つか、じゃないと、止まらないんだけど」 「ん」  それなのに公太のそれはちっとも萎えなかった。熱くて硬くて、痛そうなくらいに張り詰めてて。 「平気、公太」 「……息、止めないように」 「ン」  その張り詰めてる硬くて、太くて、大きいのが。 「あっ……」  今から、入ってくるんだって思って、ドキドキしてた。 「あぁっ……ン」  入る、かな。こんな太くて大きいの。 「あっ、はっ……はっ、ぁっ」  ちゃんと、公太の入るのかな。 「柚貴」 「ぁ、あ、あああっ」  セックスできるのかなって、緊張と甘いのと熱いのと、それと、好きっていうのが混ざって。 「柚貴……痛くない?」 「ンっ」  すごいことになってる。めちゃくちゃだ。 「柚貴、全部、入った」 「ぁ……ン」  めちゃくちゃで。 「嬉しい」  それで、気持ちイイ。 「あっ、ちょ、んんんっ、待っ、ぁっ」 「柚貴、すげ」 「あ、あンっ、ヤ、ぁっダメって、そこっ、さっきのビリビリくるっ」  腰が浮き上がるくらい。ズンズンって公太のが、さっき俺がぎゅって握ったのが中を突いて、奥まで来て、途中を擦るんだ。 「は、ぁっああああっ」  奥を貫かれると身体が痺れてすごくて。 「あ、ごめっ、こ、たっ、違、ぁ」  だから、引っ掻いてしまった。だって、俺の中、今めちゃくちゃだと思う。こんな熱いのが突き刺さってて溶けちゃいそうなのに、ぎゅうううってしゃぶりついてる感がハンパなくて、それで、ビリビリする度に、今にもイっちゃいそうで、必死にしがみついたんだ。それで爪を立てちゃっただけ。 「あ、ぁっ、ん、こ、た、止めちゃ、や、だ」 「っ」 「あ、あぁっ、あっ」  だから、痛くしたのはイヤで攻撃したとかじゃなくて、止めて欲しいんじゃなくて、おかしくなりそうなくらい気持ちイイから。 「ぁ、公太っ」 「っ」  気持ち良くて、そんで、嬉しくてしがみ付いただけ。 「ぁ、あっ」 「柚貴」 「あ、やだ、一緒、されたら、もっ、イっちゃうって」  ぬちゅくちゅやらしい音と、生まれて初めて聞く自分の変な声。人前でなんて絶対に晒せないだろう変な格好に変な顔。全部、見られてたまらなく恥ずかしいのにさ。公太がさ。 「あ、公太っ、こうた、こっあ、あ、あ、あ、」 「柚貴……」 「ぁ、ンっ、あ、ひゃああっ、あ、あ……あぁっ、イ、く」  公太が俺をうっとり見つめて、気持ち良さそうにしてるから。 「こ、た……イっちゃうっ」  なんか好きな人と。 「あ、ぁ、ああぁぁぁっ…………っ!」  セックスできて嬉しいって思ったんだ。

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