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第33話 我慢は禁物

 手、そんなに痛くないよ。 「ほら、柚貴、次の問題」 「はーい」  シャーペン握ってても痛くないし。あ、いや、消しゴムはちょっと痛いので左手になりますけれども。  だってもうそろそろ一週間になる。っていうか正確にいうと突き指してから五日目だけれど。もうほぼ一週間。普通なら、あとは湿布だってご自由にどうぞってくらいだし、日常生活でならほぼ痛みは皆無なんだから。 「ユウタ君たちは? ずいぶん静かだね」 「柚貴にいちゃんが勉強してるなら邪魔しちゃダメだからって、隣のうちの子たちと公園行ってるよ。噴水の中に入って遊べる公園があるんだ。ほら、柚貴、これ間違えてる」  公太のうちの辺りは自然がけっこう多いよね。あと公園も多い。住宅街になんとなくで設置された、ボール遊びも、かけっこもできないような取って付けたような公園じゃなくて、木々が生い茂って、涼しげで、虫がわんさか……はいなくていいけれど、そういう自然が溢れる良い感じの公園。  今日は水遊びにはちょうど良さそうだ。  外は快晴。ちょっと暑くて、けど、日陰に入れば涼しくも感じられる。日差しのもと水遊びをして、休憩は木陰でって最高じゃん。 「その公園って近いの?」 「あそこ、ほら、鉄棒を教えてくれた公園あるだろ?」 「え? あそこ?」  そこから少し中に入ったところになるんだって。レンガが絵画のごとく並んだ地面から点々と噴出す水に子ども達はおおはしゃぎで。あっちこっちから噴き出す水に子どもは歓声を上げながら走って水を追いかける。  なんだかめちゃくちゃ楽しそう。 「あそこなら歩いてそう遠くなくない?」 「……」 「水遊びしませんか? 公太センセ」 「……しません」 「えー、いいじゃん。けっこう数学やったよ? もう三時間はやってるし、だから」  リフレッシュも必要だと思うんだ。 「ダメ。突き指があるだろ?」 「もう一週間経ちます。倒立とかくらいなら全然余裕だし」  外、あんなに晴れてるんだし。先生が優秀だから今までで最高点が数学取れる気がする。 「柚貴は数学全然優秀じゃん。英語もそう。普通にできてる」 「えー、できてないって、公太のほうが断然できてる」 「できてないって思ってるだけだよ」  勉強してる時の公太の横顔って、本人は知らないんだろうけど、とてもセクシーなんだ。 「教え方が上手いから」  ドキドキじゃなくてゾクゾクする。伏せた視線も、薄く開いた唇も、少し難しい問題に遭遇した時のわずかに歪むしかめっ面も。ストイックな感じがして、ゾクゾクって。  他の人には見せたくない横顔。 「誰かにこうやって勉強教えたことあるの?」 「ないよ」 「個人レッスン的なの」 「そんなの、ない……」  あと、このおうち限定の眼鏡をかけた公太バージョンは特別。 「柚貴……?」 「ン」  外は快晴。  ピカピカのお日様の下、キラッキラに光が反射するだろう噴水で水遊びっていう納涼を我慢しないといけなくて。他の人には見せたくないストイックで眼鏡な公太と二人っきりで。 「公太」 「……」 「キス、しよ」  勉強はとても大事だけど、根詰めすぎも良くないと思うんだ。 「ふっ……ン」  リフレッシュも大事じゃん? 「柚貴」 「ン……ふ、ぁ」 「公太先生」 「っ」 「少し休憩」  ぺろりと唇を舐めて濡らした。そしてジリジリと近寄って、その股間に手を伸ばす。 「休憩、しよーよ」  誘惑したら、眼鏡を外してくれた。それはまるで、これから眼鏡をしてたら邪魔になってしまうような激しい何かを予感させて。 「あっ、こ、たっ」  むくりと反応した公太のそこに、身体がズキズキするくらい、すごく煽られた。 「ン、ふ……ぁ、あっふ」  たくさん口を開けて、舌同士を絡めるキスに音が濡れてた。ぴちゃくちゅやらしい音がしてる。 「ぁっ……ン」  公太の唇に肌を吸われながら、前を扱かれるの好きなんだ。小刻みに甘い声が零れるくらいに、そこ、くびれのとこを指のわっかで細かく扱かれるのたまらない。身体の奥が切なくなる。 「あぁぁぁっ」  奥のとこも、浅いとこも好き。けど、奥の、お腹の下のほうは擦り上げられると自分のそれがたまらなそうに鈴口から透明なのを滲ませる。 「ぁ、あっ、も、公太っ」 「……」 「したい。時間まだ、ある? 公太っ」 「まだ、あるけど、でも、いいよ、俺は。一昨日もしたし、柚貴しんどく」  ならないからって、キスと同時に舌を差し込んでねだってみる。 「手が……突き指」 「大丈夫」  だって、ほら。今手を付いて自分の身体支えてるじゃん。全然へっちゃらだよ。もう一週間なんだよ? 「ダメ? 俺、したいけど、公太は、あんまだった?」  キスしながら脚を開いて、濡れたそこを晒して。 「あんま、なわけあるか」 「公太」 「あんまちゃんとほぐす時間ないから、我慢しようと思ったのに」  俺のこと大事にしてくれるのは嬉しいけどさ、そこ、そっち、我慢させるの可哀想だ。 「へ……き、だって、一昨日したし」 「……」 「そんなにほぐさなくても」  そんな痛そうなくらいになってるのに、我慢させたら、それ可哀想だよ。ね? 「だから、しよ? っわぁぁっ!」  押し倒された。 「ンっ……んんんっ」  そしてキスで齧り付かれながら、そのまま脚を割り開かれて。 「ぁ、あぁっ……ぁ、あ」  ゆっくりじっくり、でもすごい熱さと硬さで抉じ開けられて。 「ひゃぁぁぁっ!」  公太が中に入ってきただけで、イってしまうほど、すごくすごく、気持ちよかった。

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