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 それから、何日か婀都理の居ない日常を過ごす。  大好きだった煙草も吸えなくなるほどに、俺は呆然と部屋で婀都理を待ち続けた。  今、バーやカフェに行っても会える予感はしなくて。会えても、婀都理と話す暇が無さそうで。  婀都理が出て行ってから最初の金曜日、社用で昼間のカフェの前を通った。  婀都理が接客をしている姿に、思わず目が惹き付けられてしまう。女の子たちと楽しそうに談笑する婀都理に、もやもやとして、唇を強く噛んでその場を離れた。  俺は急いで仕事を終わらせると、バー『ヘブン』へと足を向けた。少し躊躇いがちに扉を開くと、いつもの席へと腰を掛ける。  そうすれば、婀都理がカウンターに出てきて注文を聞かなくてもいつもの最初の酒を出してくれるんだ。  けれど…… 「……っ、なん、で?」 「はい?あぁ、婀都理さんですか?婀都理さんなら、今日は……お客様?」  出てきたのは、婀都理ではなく別のバーテンダー。そこまでして、俺に会いたくないのかと思ったら、涙が溢れだしてきた。  唇を噛みしめて、俯いた。涙が途切れないまま、俺はいつもの酒を店員に頼む。  不安そうな顔をしたまま、俺に酒を出してきた店員。  俺はそんな彼に何も言わず、出された酒を煽った。ここがバーだとか、もう関係ない。  酔いつぶれたら、婀都理は心配してくれるだろうか?帰ってきてくれるだろうか?  涙を流しながら、飲み干した最初の一杯。  次の一杯を頼もうとしたとき、俺の視界はぐらりと揺らいで、そのまま吸い寄せられるように床へ倒れこんだ。

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