33 / 34
3. 31
□部室(少し夕方)
唇を離し、お互い見つめ合う二人。
春来「……はぁ。そろそろ出ないとみんながここに入って来れなくなるな……」
その言葉に智哉はハッとして、智哉の腰を抱いていた春来の腕が離れて行くのを感じ、ギュッとその身体にしがみ付いた。
智哉「駄目ッ! 彼女の所には行かないで!」
春来「彼女……? え? 相葉先輩の事!?」
智哉「うん……。圭人先輩が言ってた……。春兄は卒業したマネージャーと付き合ってて、今も仲良くラブラブって……」
春来「ハァ!? それ、信じたのか!? そんなわけねーだろ! 俺は一度たりとも付き合った事はない! お前以外と手を繋ぐ事さえごめんだ!」
智哉「で、でも……」
春来「先輩には何度も告白されてるし、アプローチはされてる。でも、俺には好きな奴がいるからって何回も断ってる」
智哉「え? そうなの?」
春来「で、昨日の夜も同じような内容のメールが来て、お前の事抱いた後だったから嬉しさのあまり……勢いで俺は可愛い弟しか愛せないって送ってやったんだよ」
智哉「!」
春来「そしたら、見に来たんだろうなお前の事……」
偵察と言うか宣戦布告。自分よりも可愛い弟がどんな人間かを見に来た。それが、あの深みある笑みの意味だったのだろう……と、智哉は推測した。
ともだちにシェアしよう!