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「来、来ッ…急々如律令!」
「…ッ、ハァ、ハァ…」
不意にふっと、身体を支配していた嫌悪感が無くなり、身体が軽くなった…。
呼吸を整え、急いで東洞へ視線を向ける。
東洞は両手で印を組んだまま…
痛みを堪えているような表情…
「…封、印。…国近さん、今です…ッ、ゆたかさんを…、ッ」
「あぁ、」
「僕の、左手に…、右手を重ねて…ゆたかさんを、呼んでください…ッ」
「……、ゆたか…あの時、お前を助けることが出来なくて…本当にごめん…ずっと、ずっと後悔してた…」
「辛かったよな…苦しかったよな…今から助けてやるから…頼む出てきてくれ…」
「ゆたか…、助けたいんだお前を…」
「お前には嫌われてるかもしれないけれど、ずっと…俺はお前の友達だったよ…死ぬほど苦しんでいたこと、気付けなくて…友達失格だよな…」
「今からでも遅くなければ、お前を助けるチャンスを俺にくれ…」
「ゆたか…」
名前を呼んだ瞬間…
東洞の手に重ねた右手に温かい何かが流れ込んできた。
「ゆたか…?」
「抜けたッ!離れて!…ッ封!!ッ…くっ」
東洞は叫ぶと、封印の依り代に左手をかざそうとするが…
「ッ…ぐッ、うぅ…」
激しく苦しみだす…胸元を抑え、俯き呼吸もままならない様子…
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