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「東洞ッ!」
慌てて駆け寄るが…
「ッ、離れて…、ぅ、くそ…逃がすかッ…ぐッ…」
手で払いのけ…
苦しみを耐えながら呼吸する東洞…
用意していた笹のようなものを額に押し当てる。
食いしばる歯…
その口からは、鮮血が滴り落ちていた。
「ッ東洞!?」
吐血し苦しむ東洞に…どうすればいいか狼狽えるばかり…
「ハァ、ハァ…く、そ…、うぉぉッ縛!…封ッ瀞ッ…ハァ、ハァ…」
息を切らし…気力を振り絞り…叫ぶほど声を上げながら印を結ぶ東洞。
会社で見せていた顔とはまったく別物で…
「…キツイー、ハァ、ハァ!」
少し力の抜けた声になる。
「と、東洞?大丈夫か!」
「今少し、ハァ…大人しくさせたけど、すぐ復活するから、今のうちに依り代に封印します」
早口で伝え、依り代となる木片へ左手をかざす。
「あぁ、が、頑張れ…」
こんな時、何も出来ない自分がもどかしいが…どうしてやることも出来ないから…
そうこうしている間にも、印を結び、何やら唱え始める東洞。
「解、印。邪鬼依代移出…急々如律令奉導誓願何不成就乎!邪鬼封印!!」
「八方封印!!」
「…結。」
最後に印を結び…
しばしの静寂のあと…
「……ふ~、終わった~」
力が抜けたように倒れこむ東洞。
「と、東洞ッ」
慌てて駆け寄ると…
「めちゃくちゃ手強かったです…」
激戦を戦い抜いたあとのような…生気の抜けた顔をしているが、やや笑っていて…
「あぁ!よくやってくれたッありがとう…」
口に血のあとをつけたまま…そう呟く東洞を抱き起こしながら、ありったけの感謝を伝える。
「いや、まだ…」
「え?」
「ゆたかさんはまだ昇れてないから…」
腕の中で、そう伝えると…
少し身体を起こして…
「…え?」
「待って……、うん、うん。いいよ、じゃ逝く?良かった…」
何やら宙を見て話し出す。
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