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「え?あ、…えっと…この度は、大事な息子さんにケガをさせてしまいすみません、けれど大変助かりました…」 位牌に向かい丁寧に頭を下げていると… 「…えっイヤだよ、今は無理…」 位牌の上あたりを見ながら、不意に東洞が喋りはじめる。 「え?どうした?」 「いや、母親が直接話したいから降ろせって…」 「えぇ!あの大丈夫です!謝りたかっただけなんで、息子さんもかなり疲労していることですから」 とんでもない、と慌てて拒否する。 「そういうこと!じゃ禊行くから大人しくしてて!」 東洞は位牌に向かって手を振りながらさっそうと部屋を出る。 「失礼しました…」 そうして2人は部屋を後にする。 「ご両親、亡くなられてたんだな…」 廊下を歩きながらポツリと問う。 「はい、随分前に…霊媒師は身体に様々なものを憑依させるから、負担も大きくて短命なんです…僕のことが心配だからってなかなか上に昇らずあそこに留まっているんですけど…困りものです」 苦笑いしながらさらっと話す東洞。 「短命ってお前も?」 やはり気になり聞いてしまう。 「そうですね、霊媒を続けていれば僕も同じ運命でしょうね」 重い話を、なんだか他人事のように答える東洞、さらに話続ける。     

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