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「……」
「だから両親は早く子を成せって12歳くらいから結婚の話をしてくるんですよ、もうウンザリです」
「結婚してるのか!?」
「してないですよ、独りでしょ」
そう笑うが…
「あぁ、でも早く結婚しないと、ダメなのか?」
「僕は結婚する気はないんです、あ、これ両親には内緒ですよ!もう霊媒師の家系は僕で終わりにします」
「え…?」
「僕は僕の子どもに、僕みたいな人生を歩ませたくないですから」
少し俯き、やはり微笑みながら話す東洞。
「東洞…」
「そういえば、国近さんは結婚してるんですか?」
「俺もしてないよ」
「マジですか!」
「なんだその嬉しそうな反応は…」
「あ、すみません…独身仲間がいたなぁとか思って…なんで結婚しなかったんですか?」
「そうだな、やっぱり罪悪感からかな、ゆたかを殺しておいて自分には、新たな家庭を作る資格はないと思ったから…」
ずっと悔やんできた想いの端を伝える。
「そんなことはないでしょうに…でも赦して貰えたんだから今からでも恋人作る気あるんですか?」
こちらを覗き込むように聞いてくる東洞に、首を横に振り…
「ないよ、もうおじさんだしな…恋する感覚も忘れてしまったからな」
「なるほど…でも僕は国近さんは結構魅力的だと思いますよ、今からでも頑張ってみたらどうですか?」
なぜか楽しそうに勧めてくる。
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