21 / 300

21

「……」 「だから両親は早く子を成せって12歳くらいから結婚の話をしてくるんですよ、もうウンザリです」 「結婚してるのか!?」 「してないですよ、独りでしょ」 そう笑うが… 「あぁ、でも早く結婚しないと、ダメなのか?」 「僕は結婚する気はないんです、あ、これ両親には内緒ですよ!もう霊媒師の家系は僕で終わりにします」 「え…?」 「僕は僕の子どもに、僕みたいな人生を歩ませたくないですから」 少し俯き、やはり微笑みながら話す東洞。 「東洞…」 「そういえば、国近さんは結婚してるんですか?」 「俺もしてないよ」 「マジですか!」 「なんだその嬉しそうな反応は…」 「あ、すみません…独身仲間がいたなぁとか思って…なんで結婚しなかったんですか?」 「そうだな、やっぱり罪悪感からかな、ゆたかを殺しておいて自分には、新たな家庭を作る資格はないと思ったから…」 ずっと悔やんできた想いの端を伝える。 「そんなことはないでしょうに…でも赦して貰えたんだから今からでも恋人作る気あるんですか?」 こちらを覗き込むように聞いてくる東洞に、首を横に振り… 「ないよ、もうおじさんだしな…恋する感覚も忘れてしまったからな」 「なるほど…でも僕は国近さんは結構魅力的だと思いますよ、今からでも頑張ってみたらどうですか?」 なぜか楽しそうに勧めてくる。     

ともだちにシェアしよう!