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「優志さん、大丈夫…、僕の会社の先輩です…」
男が持つ紙切れは何か文字が書いてある護符だった。
符を持つその手を抑えて、東洞が伝える。
「はぁ?先輩?なに、上司か?…お前ッ何この家に一般人連れて来てるんだ!」
途端、顔つきが変わり、東洞を怒鳴りつける優志と呼ばれた男。
「ごめんなさい…」
ビクッとしてすぐ謝る。
「しかも、なんだこれは…」
テーブルの上にある食べ物を指していう。
「……」
答えに詰まる東洞。
「おいおい、誰かは知らんが…そんなに怒鳴らなくても…メシは俺が作ってやったんだ、毎日味気ない食事じゃ食欲もなくなるだろ」
そう話す俺を無視して男は東洞に問いただす。
「尊…食べたのか?」
「……」
俯き、小さく頷く。
「俺が持ってくるもの以外は口にするなっていつも言っているだろ、お前も分かってるだろ!?」
「分かってます、でも…国近さんはここにある物で作ってくれたんです…だから、大丈夫…」
「尊…」
威圧的に見て名前を呼ぶ男…
「……」
それに圧され言葉は続けなくなった東洞だが、負けないようにまっすぐ見返している。
「…こんなもの、今すぐ捨てろ!」
「……イヤです」
首を横に振り…拒否の言葉をだすが…
「っ…」
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