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《温かいオーラ》
昨日、東洞の家に行ったら、無粋な男が乱入してきて、追い返されてしまった…
あの男は何者なのか…
でも、東洞を守ろうとする姿勢は感じられた。
まあ、部外者は俺だった訳だから、仕方ないのかもしれないが…
とりあえず、今日、東洞がちゃんと出勤してくるのかが心配だ。
辞めるとかなんとか…言ってたし…
新入早々、これ以上欠勤が続いたらそれこそ首が危うくなりかねない。
そんな心配をしながら職場前まで来ると…
「あ、東洞…」
入り口の前で佇んでいる姿は…東洞だった。
「あ、国近さん!」
俺に気づくと、東洞は急ぎ足で駆け寄ってきて…
「国近さん、昨日はごめんなさい」
いきなり頭を下げて来る。
「東洞…」
「せっかく来てくださったのに…僕…」
「東洞、頭あげろ!まずはおはようございますだろ」
ポンと、頭に手を乗せて…笑顔で言ってやる。
「国近さん…」
「今日も1日長いんだ、そんな顔じゃ夜まで保たないぞ」
俺の言葉を聞いて、強張っていた東洞の表情が和らぐ…
「はい、おはようございます」
微笑み挨拶する。
「おー、おはよう、行くか」
「はい」
オフィスについて、デスクに座る。
担当する都合で東洞のデスクの隣に俺のデスクがある。
新人の東洞に割り振られた仕事はパソコンで、データチェックとデータの入力作業、決められた量を決められた時間内にやる。
それだけだ。
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