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第39話
しかし、なかなか東洞は進まない。
今日も…
俺が自分の仕事に集中して暫く東洞から目を離していて…
ふと隣のデスクを見ると…
作業の手が止まり、東洞は何やらポソッと呟きながら、パソコンの画面の前を手で払う仕草をしている。
「東洞、どうした?」
「あ、いえ…」
呼びかけると、不思議な行動をやめた東洞だが…
「伝票合ってるんだろ?なら早く入力しろよ」
「はい…」
俺の言葉に打ち始めるが…
「おい、そこ、打つ場所間違ってるだろ…」
「あ、すみません…」
謝りながら苦笑いな東洞。
やはりパソコン画面の前を手で払っている。
「ん?画面に何かついてるか?」
ゴミでもついているのかと、東洞のパソコンを覗き込むが、特に何もついていない…
「……あの、画面が見えなくて…」
ポソッと小声で耳打ちしてくる。
「画面が?」
俺にはなんの変哲もないパソコン画面だが…
「今日、出社する道すがら…子どもの霊を拾って来てしまって…その子がイタズラで画面に張り付いてて…見えないんです…」
「えっ?今?」
「はい…家に帰ってから浄霊をしようと思ってたんですけど…なかなかおてんばで…大人しくしてくれなくて…」
困ったふうに首を傾げながら伝えてくる。
「…そうなのか、…つか、職場に霊を連れてくるなよ…」
子どもの霊がいるかと思うと少し困惑する。
「すみません…少し話をしたらついてきてしまって…」
「やれやれ」
「あの、少し休憩いいですか?このままじゃ仕事にならないので…トイレで浄霊してきます」
「え、大丈夫なのか?」
「個室でしますから大丈夫です」
「しかしなぁ…なら、何か手伝うことは?」
俺のを祓った時の印象が強いので1人でいかせるのは心配だ。
「いえ、特には…あ、霊を降ろしている間、人払いをしていただけたら集中できます」
「わかった」
頷き、浄霊について行くことを決める。
「あと…終わったあと、多少、胎内が穢れるので、国近さんのオーラで癒していただけたら嬉しいです…」
やや控えめに伝えてくる東洞…
「あぁ、俺に出来ることならやってやるよ」
「ありがとうございます」
嬉しそうに微笑んでいる。
「よし、じゃ休憩!」
「はい」
そのまま、最上階のあまり使われていないトイレへ行く。
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