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第40話

東洞は個室に入り準備を始める。 俺はトイレの入り口で人が来ないか見張ることにした。 人が来たら、水道管が壊れて流れないからと理由をつけて別のところを使ってもらうつもりで… しばらくすると、個室内で呟くようにまた呪文を唱える東洞の声が聞こえてくる。 浄霊が、はじまったようだ…。 東洞は霊媒体質で、霊を身体に降ろして、内部で浄化して浄霊するらしい。 どんな仕組みになっているのかはよく分からないが… それで、この会社に住み着いていた霊も浄霊したらしい。 しばらくして… 「……結。…国近さん終わりました」 「え?もう?」 「はい、とてもいい子で、無事昇っていきました。…国近さんこっち来てください」 「あぁ、」 東洞の入っている個室に呼ばれ中に入る。 トイレの個室、大人2人入るとやはり狭い… 東洞は鍵をして… 小声で… 「全身、国近さんのオーラに触れたいので…僕を包みこんでいただけますか?」 「包みこむ?…こうか?」 言われたとおり、東洞を引き寄せ、両腕で包みこむように優しく抱きしめる。 「はい…すごく温かくて…気持ちいいです…」 東洞も、ぎゅっと掴まるように身体を寄せ瞳をとじる。 「そうか…なんか、変な感じだな…」 大の男、大人2人がトイレ個室で抱き合うなんかそうそうない… まあ、東洞が小柄で髪も長いから、女か子どもだと思えば違和感も少しは薄らぐが… 「…そうですか?国近さんのオーラに包まれて…僕はすごく癒されてます」 瞳を閉じて昼寝でもしそうな穏やかさ… 「そりゃ良かったな…」 満足そうにしみじみいう東洞を見ると、なんだか笑えてしまう。 そんなこんなで、業務中に浄霊を手伝い… 微妙な場所で、東洞のオーラ摂取に協力してやった。 本当に変わった新人だ。 いや、それに付き合っている俺も充分変わっているのか…。

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