「あれはまだ依り代に封印したままです…僕だけでは滅するのに力が足りないので…優志さんに強力な結界で閉じ込めて貰って弱らせてから、僕がもう一度退魔を挑んでみて、無理ならば高位の陰陽師の方に預けることになります…」 「やっぱり、優志って奴はお前には必要な存在なんだな…」 結界師というのは東洞にとっては、かなり重要なポジションらしい。 「…はい」 「じゃ、俺のを祓う時も呼べば良かったんじゃ…」 そうすれば、東洞が独りであんなに苦しむこともなかったのかもしれない。 「いえ…優志さんに知られれば…」 やや表情を曇らせる東洞。 「なんだ？」 「本当は…国近さんを優志さんには会わせたくなかった…です」 一般の人間を毛嫌いしている優志さん。 国近さんに対して、絶対友好的にはしないから… 「東洞？」 「優志さんは…結界師の仕事で、しばらく出張に行っていて、今日まで戻らないと聞いていたので…鉢合わせすることは無いと思っていたんですが…」 昨日のことをやはり気にしている。 「俺はお前の家に行かない方がいいのか？」 「そんなことないです！」 すぐ否定する東洞だが… 「けどあいつは…入れるなって…」 「以前に…一般の人を信頼して、家に招いたことがあるんですが…最終的にはその人に裏切られ…『お前らは気持ち悪い』と言われ蔑まれました…そういうことがあるから、優志さんは一般の人間を入れたがらないんです」 「俺はそんな風には思わないがな…」 そう、首を傾げるが… 「そのこと、優志さんは…なかなか信じてくれません」 「…うーん、そうだな、じゃ俺はやっぱり行かない方がいいのかもな、後から来たのは俺だし、そいつの食事を蔑ろにしたのも確かだから…それに、その優志って奴もお前の為に必死になっているみたいだし…」 総合的に考えて大人の意見を伝える。 「……」 それを聞いて悲しげな表情をする東洞。