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《天河守優志の力》
仕事を終え、自宅へ帰り着く東洞尊。
「……」
すっと、屋敷の門をくぐると…ハッと足を止める。
「結界が新しくなってる…」
優志さんが新たに掛け直したのか…
肌に感じなから玄関を目指す…
そこには人影…
僕が結界を通り抜けたら、結界主の優志には余波が伝わり分かる…。
だからいつも玄関に出て迎えてくれる。
「おかえり、尊」
「……ただいま帰りました」
少し頭を下げて、横を通り抜ける。
「…また、接触したか?あの男と…」
後を追い、そっと尊の身体に触れて確認しながら…瞳を見つめる。
「……」
目をそらし…その質問には答えない…
部屋へ荷物を片付ける。
「ま、いいか…メシにしろよ」
「はい…」
頷いて優志のあとをついていく…。
「昨日はゴタゴタして聞けなかったけど、俺が留守の間、何か変わったことはあったか?」
食卓につき、優志が用意した食事を2人で食べながら…
うかがうように話しかける優志。
「…ないです」
「清めの間で、結界に亀裂があった…何かしたか?」
「……はい」
隠し通せることではないので…伝えられる真実だけ伝える。
「妖魔を封じました…」
「なんだって?独りでやったのか?」
「はい…強力過ぎて滅することが出来なかったので、依り代に一時的に封印しています…」
案の定、驚く優志へ、落ち着いた口調で伝える。
「お前…、それは仕事の依頼だったのか?」
「いえ…僕が勝手に、やりました…」
「お前な、妖魔なんか…通常レベルのやつでさえ陰陽師3人がかりで挑むんだぞ、お前が独りで敵うわけ無いだろ…身体は平気か?ちゃんと禊はしたのか?」
「大丈夫です…禊もしました…」
「封印した妖魔は?」
「蔵に…」
「無駄に力を使うな、正式な依頼以外は無視するんだ、いいか!?」
そう強く言い聞かせるが…
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