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《霊媒師体質と自由》
翌朝…
「……」
家に張られた結界は完璧じゃない…隙間から入った悪鬼に取り憑かれないよう気を張っていたため…
ほとんど眠ることが出来ず…朝を迎える。
尊は、ゆっくり立ち上がり…
「臨・兵・闘・者・皆・陳・烈・在・前!」
印を結びながら気休めの護身法を行い、動き出す。
朝の支度をして…会社へ行くために…
護身用の護符を持ち、苦手だが手刀で知りうる限りの結界術を施していく…
尊は、夜中を独りで過ごしているうちに…
仕事に行きたいあまり、結界がなくてもなんとかしてやる、と、優志や親に反発して、そう意地を張る気持ちに陥ってしまっていた。
「……」
優志さんの力をかりなくても生きていけるようになれば…
この生活から解放される。
たとえ、その可能性が限りなくゼロに近くても…
自由になりたい。
生かされているだけの生き方なんかしたくないから…
起きて朝の支度をしていた優志…
部屋から出た尊の姿を見て慌てて引き止める。
「…おい、尊…どこ行く気だ!?」
「仕事です…」
「バカやろう、今この家から出たらどうなるか分からないのか!?」
「……っ」
自分は強力な霊媒体質…
取り憑かれるのは免れない。
でも、祓いながら、なんとか職場へ…
たどり着きたい…
国近さんが待っているから…
振り切るように玄関を抜け、正門を目指す。
「おいッ待て尊!」
靴を履く間も無く裸足で追いかけ、強く引き留めるが…
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