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第57話

そして仕事が終わった後…。 無断欠勤した東洞に会って話を聞くため…再び東洞家にやってくる。 もうすっかり日は暮れて…あたりは薄暗い。 相変わらず豪勢な門構え… その脇にある小扉のインターフォンを押して呼んでみる。 しばらくして… 「ったく忙しい時に、誰だ?」 ぶつぶつ言いながら応答する声は東洞ではない。 「すみません、東洞尊さんの会社の者ですが…」 「あ?…誰だ、忙しいんだ帰れ!」 「国近といいます、今日、東洞さんが無断欠勤したので話がしたくて…」 「国近?お前か、尊は今話せる状態じゃない…帰れ!」 ガシャ! そうインターフォンは乱暴に切れた。 「…話せる状態じゃない?…どういうことだ?」 東洞の身に何か? 気になり、小扉の窓から中を覗こう扉に触れた時… ギィ… と音がなり小扉が開いた。 「開いてる…」 扉を押して、中の様子を見てみる。 薄明かりの中、庭にうずくまっているのは… 「え…東洞?」 「東洞ッ…何してるんだ!東洞?」 慌てて駆けて近寄ると… 「フーッ」 東洞は姿勢を低くして四つん這いになり睨みつけてくる… 全身、水に濡れ…髪もほどけてしまっているため、別人のような風貌に見える。 「東洞だよな…」 ゆっくり歩み寄るが… 「近づくな!!」     

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