58 / 300

第58話

後ろから鋭く声がかかる。 「…あ、お前は…」 振り返ると…昨日乱入してきた男が何やら器具を持ちやってくる。 「なんで勝手に入って来てんだ、ったく…」 ため息を尽きながら、器具を並べ、柄杓で東洞に水を浴びせている。 それに対し、東洞は唸り声をあげ、威嚇している。 「東洞はどうしたんだ?」 「…結界を解いた状態で、朝無理やり会社に行こうとして複数の霊に取り憑かれたんだ…様子から主に動物霊の集合体だろうけど、尊は話せる状態じゃない…もう分かっただろ、帰れ…」 優志も、やや疲れたような様子… 昨日の勢いはない。 「取り憑かれ…」 朝…?朝から東洞はあんな状態なのか… 「おい、これ以上醜いものを見たくないだろ…早く帰れ!」 場を動かない俺に、もう一度怒るようにいう。 「どうすれば助けられる?」 とっさに口走っていた… いつもの、あの東洞に戻すにはどうしたらいいのか… 「はぁ?」 「俺は東洞に借りがある、東洞が苦しんでいるなら助けたい」 「バカかお前、一般人に何ができる、帰れ!」 「それでもほっては帰れない…なんでもする、助ける為に何をしたらいい?教えてくれ!」     

ともだちにシェアしよう!