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第62話

「…心の臓に宿りし高位結界、今一度我と結びて力と成せ、発ッ!…汝を守りし結界の柱、邪気を寄せ付けぬ低、中、高…全ての結界を再結印す…」 すぐ様、符を用いて東洞の身体に結界を張り直す。 「…あり、がとう…優志さん」 「反省させるつもりが、こんな無茶されちゃかなわないからな…」 やや不機嫌にフイと顔を背け言い捨てる。 「ごめんなさい…あ、国近さん、けが…」 優志に謝り、ハッとして肩の傷を気にする。 「大丈夫だ、気にするな…、今は眠れ…休まないとな…びしょ濡れだが…」 やつれた東洞を心配する… 雫を拭い、ボサボサの髪を手でといてやる。 すると、不意に優志が、東洞を奪い取るように抱き上げる。 「…あ、優志さん…」 「…禊いくぞ、胎内が、かなり穢れてる…、」 そう言うと、屋敷の方へ歩き出す。 「おい…」 声をかけると… 「お前も来い…」 優志は短く呼ぶ。 「あぁ、ちょ、待て…痛ッ」 ついて行こうとするが…やはり動くと噛まれた肩は痛みが走る… 「大丈夫?国近さん…」 優志に連れて行かれながらも、こちらを気にする東洞。 「あぁ、大丈夫だ」 肩口を抑えながらついていく。 そして禊場まで来て…、東洞を降ろす優志。 無言で東洞の衣服を脱がしていく… 「…優志さん、自分でできます…」 こちらの目をはばかってか、そう遠慮している東洞だが… 「煩い、黙ってろ」 短く言って、黙々と続ける。 「……」 「あんたも上脱いで…」 優志はこっちにもそう促す。 「え?俺?」 「噛まれた場所を清める…」 「あぁ…」 上衣を脱いで上半身裸になる。        

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