62 / 300
第62話
「…心の臓に宿りし高位結界、今一度我と結びて力と成せ、発ッ!…汝を守りし結界の柱、邪気を寄せ付けぬ低、中、高…全ての結界を再結印す…」
すぐ様、符を用いて東洞の身体に結界を張り直す。
「…あり、がとう…優志さん」
「反省させるつもりが、こんな無茶されちゃかなわないからな…」
やや不機嫌にフイと顔を背け言い捨てる。
「ごめんなさい…あ、国近さん、けが…」
優志に謝り、ハッとして肩の傷を気にする。
「大丈夫だ、気にするな…、今は眠れ…休まないとな…びしょ濡れだが…」
やつれた東洞を心配する…
雫を拭い、ボサボサの髪を手でといてやる。
すると、不意に優志が、東洞を奪い取るように抱き上げる。
「…あ、優志さん…」
「…禊いくぞ、胎内が、かなり穢れてる…、」
そう言うと、屋敷の方へ歩き出す。
「おい…」
声をかけると…
「お前も来い…」
優志は短く呼ぶ。
「あぁ、ちょ、待て…痛ッ」
ついて行こうとするが…やはり動くと噛まれた肩は痛みが走る…
「大丈夫?国近さん…」
優志に連れて行かれながらも、こちらを気にする東洞。
「あぁ、大丈夫だ」
肩口を抑えながらついていく。
そして禊場まで来て…、東洞を降ろす優志。
無言で東洞の衣服を脱がしていく…
「…優志さん、自分でできます…」
こちらの目をはばかってか、そう遠慮している東洞だが…
「煩い、黙ってろ」
短く言って、黙々と続ける。
「……」
「あんたも上脱いで…」
優志はこっちにもそう促す。
「え?俺?」
「噛まれた場所を清める…」
「あぁ…」
上衣を脱いで上半身裸になる。
ともだちにシェアしよう!