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《繋がり》
「……一時間、」
柱に背を預け、時を待っていた優志が…
尊に時間を告げる。
「……」
尊は…それを聞いて…瞳をあけて…
すっと、禊の清水から立ち上がり、水から上がる。
優志がその華奢な肩に後ろから大きめのタオルをかけてやると…
「国近さんは?」
雫を拭いながら、ポツリと聞く尊。
「……帰った」
第一声が奴の名前でやや不機嫌に返すが…
「そう……怪我、大丈夫そうでした?」
やや、さみしそうに頷き…様子を聞く…
「あぁ…奴のことより自分の心配をしろ…」
「はい…優志さんに迷惑をかけてごめんなさい…」
そして、頭を下げて素直に謝る。
「……、」
「優志さんは、怪我…していませんか?」
「……あぁ、」
「良かった、……僕、…国近さんの前で…酷かったですよね…?…噛みつくなんて…」
そう悲しげに俯く…
取り憑かれていた間の記憶…
複数取り憑かれた場合は強制的に意識を失わされるため、その間の記憶がほぼ無い…
けど…僕が、国近さんを抑え付けて…
血がでるほど噛みついたのは事実…。
「……、」
思考を打ち切らせるよう…
不意に、ぎゅっと…その細い色白の身体を後ろから抱きしめる優志。
「優志さん…?」
ーーー『本当に大切なのはお前だよ…』ーーー
ふざけるな…そんなこと、当たり前だ…
俺が居なけりゃ尊は…
一般の人間なんかと…並べること自体間違ってる。
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