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第66話

けど、今朝の様子… 結界を外した状態で外にでるなんて馬鹿なこと… なんでしたんだ…。 俺が大切なら…俺のそばで、俺の言う通りにしていいれば…悩むことも、苦しむこともない… なのに… なぜ… 「優志さん?…なに?…離して?」 無言で抱きしめられ続けて困惑する。 ーーー『東洞も人間だ、意思がある…』ーーー 意思?気持ち? そんなこと、生きていく大変さに比べたら詮無いこと… それでも、尊は…それを優先するのか… 今だって… 一般の人間なんかの心配をして… 大切なのは奴じゃない、尊自身なんだ… 一般人がどうなろうが、どう思おうが関係ない… けれど…尊は… 奴の存在が…尊を揺るがしている。 だが、結果的に…尊を目覚めさせたのは奴だった。 俺は何も出来ずに… そばに居たのに…守れなかった…。 「…どう、したんですか?」 何も話さなくなった優志… その抱きしめている腕に触れて…聞いてしまう。 「……冷えてる」 冷たい身体を温めるよう…身体を寄せている優志… 「はい…禊しましたから…ッ、優志さんッ?」 不意に尊の心臓の上にある結界の焼印を指でなぞる優志。 びくっとして、その手を握って止めながら…さらに困惑する。 「…俺たちは結界で繋がっている…一心同体だ、一生離れることはない…」 自分の胸にある、尊と同じ焼印… 一対の、希少で強力な…守護契約…。 尊を守る為だけにこの身に刻みつけた…刻印。 あの時から…一生をかけて守り抜くと誓った… 東洞尊という唯一の存在を… 離れることなどあり得ない… どんな時でも離れず尊を助ける。 奴なんかに… この誓いの気持ちはわからない…。

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