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第67話
優志は尊を抱き寄せたまま囁く…。
「……」
離れられない…
今回のことで…改めて、僕は…優志さんの結界なしでは、普通に生きていけないことを思い知らされた。
どんなに足掻こうが…運命に抗おうが…
答えは決まっていて…
それが自分の限界だと…思い知らされる。
醜い姿を国近さんに見せて…怪我をさせて…
優志さんに迷惑をかけて…
「お前は、俺がいれば…生きていける、一般の人間と馴れ合う必要はない…無理に外に出る必要は無い…違いを思い知らされて、お前が傷つくだけなんだ…」
「……」
「…今回のようなことがあれば…一般の人間には、狂ったようにしか映らない…お前のこともあいつだって…」
取り憑かれて…自我をなくす姿を見て…
国近さんはどう思っただろう…
流石に…
気持ち悪いと思われたかな…
恐怖心を与えてしまったかもしれない。
謝っても…安心させても…
心に刻まれた恐怖心はそう簡単には拭えない…
明日からの国近さんの態度が怖い…
国近さんは、変わらずいてくれると、思う一方で、それが本心かは…分からないから…。
でも、それでも…国近さんに会えなくなるのは嫌だ…
せっかく繋がれた縁だから…
明日も会社に行きたい…
国近さんにもっと教えてもらいたいから…
「……分かって、ます」
気持ちを整理して答える尊。
「それでも…まだ外へ行きたいのか?」
「…行きたいです」
振り返り、まっすぐ瞳を重ねて意志を伝える。
「……俺たちが、一般の人間に理解されることは無いんだぞ」
「それでも、僕は…仕事に行きたい…優志さん、行かせてください…」
頭を下げて必死にお願いしてくる。
そんな様子を見て…
「……分かった、」
たっぷり考えて…優志は頷く。
「いいんですか!?」
ぱっと表情を明るくする。
「ただし、お前の身に何かあったら直ぐ辞めさせるからな!」
「はいッ…ありがとう、ありがとう…優志さん」
嬉しくて優志にお礼をいい抱きつく…
そう、喜ぶ尊を見つめ…優しく抱き寄せながら…複雑に思ってしまう優志だった。
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