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新章《これまでの出来事》
霊媒師の家系に生まれた、僕、東洞尊 は、普通の生活に憧れていて、ようやく内定をもらった会社へ、霊媒、霊視体質の自分の力をみんなに隠しながら働きに出た。
指導担当となった国近啓介さんは、かなりイカツイ妖怪と親友の霊に取り憑かれていて…
近づくのも怖かったけど、国近さんのオーラの綺麗さと、心根の優しさを知って、力を貸したくなって、取り憑いていた霊を全力で祓ってあげた。
その事があってから、国近さんは、会社で唯一、僕の力を知る人物となり、僕の体質を理解しようとしてくれていた。
そんな時、会社へ行くことを反対していた専属結界師の優志さんとケンカして、怒った優志さんに僕の身体にかけてある結界を全て解かれてしまい…結界のないまま外に出た僕は、複数の動物霊に胎内へ入られ意識を失ってしまった…
意識のないまま、動物霊に身体を支配され…優志さんに迷惑をかけて、助けてくれようとした国近さんには噛み付いてしまうという失態を見せてしまった…。
あの日から数日が経つ…
体調も良くなったのに、国近さんは僕に残業をさせてくれなくなった。
あの夜から…
やっぱり…取り憑かれて獣のような状態になった姿を見せてしまって…
怖い印象を与えてしまったのかな…
あまつさえ、国近さんを襲って、噛みついてしまって…
残業…
職場に居残り…
国近さんは…霊と対話し、霊に絡まれ、取り憑かれてしまう僕と…二人きりになりたくないのかもしれない。
そう、思うと…悲しい気持ちに心が縛られる。
嫌われてしまったのかな…。
でも、オーラに変化はない…
怖がられたり、嫌われたなら…
感情に何かしら変化がある時は…
オーラの色や性質も変わる筈なのに…
国近さんのオーラは綺麗過ぎて感情が読み取りにくいのも確か…
国近さん…
やっぱり、直接聞いて見ないと分からない…今度、勇気を出して気持ちを聞いてみる。
国近さんに…。
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