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《一緒にいたいから》
あの日から一週間…
俺は天河守と約束した通り、できる限り定時に帰らせるようにした。
東洞は残りたいと粘ろうとするが…
そこは譲らない。
無理をさせて欠勤させてしまうことの方が問題だから…
今日も終業時刻がやってくる。
「東洞、そこまででいいから、今日は上がれ」
いつものように先に帰るよう東洞に伝えるが…
「大丈夫です、僕も残ります」
「ダメだ、片付けて先に上がれ」
「どうして残っちゃいけないんですか?」
「天河守が心配するだろ」
「優志さんはもう実家に帰ってます、大丈夫です」
「いないから大丈夫とかそういう問題じゃないんだ…あとは俺がするから早く上がれよ」
「……いやです、僕は国近さんと一緒に仕事したいんです!ちゃんと仕事を見て覚えます!」
今日はいつになく頑なな東洞。
「あのな、」
弱って頭をかく俺を見て…
「国近さん…僕と夜二人きりになるのが怖いですか…?」
東洞は少し口調を変えて…さみしそうに聞いてくる。
「は?」
「あの夜から、取り憑かれて国近さんに怪我をさせてから…一緒に残ってくれなくなりました…」
「それは…」
その通りだが、理由は違う。
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