80 / 300
第80話
「すみません国近さん、メガネは伊達なので大丈夫ですよ、見えない霊と対峙する時、鏡やガラスを通すとより見えやすくなるので、霊体を認識する時、優志さんは伊達メガネを使っているんです」
言葉足らずな優志の代わりに、東洞がフォローを入れる。
「あ、そうなのか…」
「余計なことを話すな、尊」
しかし不機嫌に止める優志。
「はい、でも誤解が生まれますから…説明しないと」
「あぁ、助かる東洞…」
「いえ、優志さん…見えます?」
ニコッと微笑み応え、すぐ霊媒師モードの真剣な顔になり、優志へ視線を向けて聞いている。
「…まあ、なんとか…フォロー頼む」
「はい、まだこちらの窓にいます」
「そのまま、俺が出るまで引きつけておいてくれ」
「はい、気をつけて…優志さん」
「……」
東洞と瞳を交わし頷くと、優志はさっと車から降りる。
「行きました、右から…」
「一線!!」
右手で符を持ち構え…
東洞の声を聞き、右側を見て、大きく符を横に振り声を出す。
さらに…符をかかげ…
「汝が守護するもの…東、西、南、北…四方守護結界…発ッ!!」
優志の周りに立方体状の光の結界を張る。
「優志さん、後ろに、5時の方向…結界に張り付いてます」
東洞の声に誘導され振り返り…目を凝らす優志。
霊の影を捉え、再び符を構えると…
「諸々の罪穢れ…彷徨える魂よ一つとなりて此れ征す…封印結界術、術式壱…静止結界ッ発!!」
「入りました」
見えない何かを映す瞳、間髪入れず冷静に言葉を出す東洞。
「よし、闇に縛られし魔のもの…我の力を以ちて、基在る場所へと還れ…発ッ!」
強く言葉を発して、符を放つ優志。
すると、車の脇で…
バチッ!!
符がいきなり弾け飛ぶ…
「おぉ…」
急なラップ音に驚いていると…
ともだちにシェアしよう!