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第81話
「お疲れ様、優志さん」
東洞は車の中から優志に伝えている。
「終わったのか?」
「はい、優志さんの結界術で閉じ込めて符術でもといた場所へ飛ばしました。結界が効いているので暫くは悪さは出来ないはずです」
「そうか、良かった…」
そう、話していたら、優志が車の中に戻る。
「はい、お疲れ様、優志さん大丈夫ですか?」
頷いて、優志に聞いている東洞。
「あぁ、」
東洞の言葉に笑顔をみせる優志。
「天河守も凄いんだな、お疲れ」
俺も労ってやるが…
「フン」
とたん不機嫌な顔つきに戻る。
「はは、」
「優志さん…、すみません国近さん」
「いやいや気にしてないから、それにしても、東洞と天河守、霊との戦い方が随分違うんだな…」
「そうですね、専門と霊力も違いますから」
「天河守は呪文を使っているけれど、お前はあまり言わないよな」
「僕の場合は、霊体とは頭の中で意思疎通できるので対話に基本言葉はいらないんです、ただ、胎内から依代に封印する際は、漢字1字に力を込め集中して印を結んでいかないと、僕自身の霊力を外に発することができないので…」
「そうなのか…」
「優志さんは、言の葉を紡ぐことで精神統一をして、霊力を高めているので、スペルは大切ですよね」
「だから、尊…なんでも話すんじゃない」
話している間にメガネを外して符などを片付けていた優志が、ボソッと怒る。
「国近さんは、大丈夫なのに…」
「まあまあ、そうか…色々あるんだな…」
二人をなだめながら…感心する。
霊能者の世界は色々と奥が深いようだ。
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