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第83話

「お久しぶりです」 さっきまでツンケンしていた天河守優志も敬うように頭を下げている。 「優志くんもお久しぶりです」 「あ、どうも初めまして、国近啓介と言います」 視線が合い、初対面の挨拶をする。 「なるほど…彼が…、あ、失礼…初めまして、私は倉橋与志親と申します、よろしくお願いします」 陰陽師は、俺を見ると、珍しいものを見るように、頭から足先まで全身にゆっくり視線を向ける。 「国近さんのオーラ凄いでしょ倉橋先生」 東洞は自慢げに話す。 「そうですね、立ち話もなんですからこちらへどうぞ」 青年は俺たちを招き、応接室へと案内する。 「どうぞおかけください」 「ありがとう倉橋先生」 「……」 皆が座ったのを確認して、倉橋も席に着く。 「さっそくですが、これを…」 優志は、以前俺に取り憑いていた妖怪を東洞が封じた依り代を倉橋に見せている。 「例の妖魔ですね」 「はい、尊が1人で封じたものを俺が隔離結界しています」 「……これは、かなり力の強い妖ですよ、尊くん、よく1人で封印できましたね」 倉橋は依り代に手をかざし…瞳を閉じて話し出す。 優志はそれを聞いて怪訝な顔をしている。 「はい、ちょっと大変でしたけど…人間に仇なす妖怪だったので…」 「志しは立派ですが、あまり無理しないでくださいね、貴方ほどの力のある霊媒師は他に余りいないのですから」 「はい」 優しく心配する倉橋にはにかむように頷く東洞。 「では、これはこちらで預かります、ご苦労さまでした」 「ありがとうございます」 優志と東洞は頭を下げ… つられて俺も会釈する。

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