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第85話
「特に、身体に妖魔や霊を憑依させる霊媒師は、胎内の穢れを1番ダイレクトに受けるので、中和師がそばで胎内の浄化を担当していたんです」
「そうだったんだ」
東洞も説明を聞いて驚いている。
「昔も、清め人は穢れにくい少女や女性が多かったのですが、国近さんは男性で穢れず、本当に不思議で珍しいことです、よほど高貴な神の生まれ変わりだったのでしょう」
「俺が?」
神の生まれ変わり?
「尊くんが妖魔を封印した時にも国近さんはそばにおられたのですか?」
「はい、東洞はすぐ寝てしまったので朝まで様子を見ていました」
「おそらく、妖魔を封じて消耗した尊くんを、国近さんは、そばで知らず知らずの間にオーラで癒していたから、その後の尊くんの回復が早かったんだと思いますよ」
「そうだったのか…」
「あれだけの妖魔を胎内に宿らせたなら、一週間は寝込んでもおかしくありませんからね」
「えっ…」
一週間も寝込ませるほどのことをさせていたのかと思うとぞっとしてしまう。
東洞は、あの時、1日欠勤しただけで日常に戻っていたが…
「ありがとうございます国近さん」
そんな内心を露知らずの東洞は何時ものようにニコッと笑っている。
「いや…力になれたなら良かったよ」
「尊くんも、妖の穢れに犯されやすい霊媒師は特に、綺麗なオーラを求める傾向があるので、彼に近づきたくなる衝動は本能からのものですよ」
ということは、俺に懐くのも本能のようなものなのか…
「僕、国近さんのオーラに触れていると、凄く安心感に包まれるんです、動物霊に取り憑かれて分からなくなった時も、国近さんのオーラに助けてもらいました…」
「そうでしょうね…これだけ清らかならば、その力はあると思います」
そう優しく微笑む陰陽師。
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