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第87話
「国近さんもどうぞ」
そう陰陽師に促がされる。
「あぁ、祈祷というと?」
頷きながら横を歩く東洞に聞く。
「お祈りみたいなものです、貴重な体験ですよ、倉橋先生に祈祷してもらえるのは限られた人だけですから」
「そうなのか…祈祷を受けたらどうなるんだ?」
「運気が上がって、しばらくの間は厄災に合いにくくなります、僕なんかは効果がはっきり出て、悪い霊や妖が近寄りにくくなるのでとてもありがたいんです」
「そうか、凄いんだな」
「はい、元来、陰陽師は星占いや祈祷が主のお仕事なんですよ、悪霊のお祓いはその中でも特に霊力が強い血筋のみ行ってるんです」
「なるほどな…」
東洞の説明に感心しているが、優志は気に食わない顔だ…
「倉橋先生は力が強いのでお祓いも祈祷も超一流ですけどね!」
そんな様子は気にせず東洞は、相変わらずニコニコして教えてくれる。
そうして広いお堂のような場所で全員、陰陽師の先生に祈祷をしてもらう。
帰る前も、玄関まで見送ってくれる倉橋先生。
「では、気をつけて…」
「あの、聞いていいですか?」
別れ際、どうしても気になることがあって先生に声をかける。
「おい、」
優志が怪訝な顔でとめるが…
「ええ、どうしました?」
先生は優しく窺う。
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