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第88話
「その、今日預けた妖怪なんですが…このあとどうするんですか?」
「あまり良い妖怪ではないので、こちらで滅しますよ」
「その時にまたゆたかに取り憑きに行ったりは…」
「国近さん、ゆたかさんは僕が浄霊しましたから、もう現世には…この世にはいないので取り憑かれる心配はありませんよ」
東洞は丁寧に説明してくれるが…
「バカか、倉橋先生が滅すると言ってるだろ、誰にも取り憑くことはない」
優志は相変わらず辛口だ。
「ちょ、優志さん!すみません国近さん…」
慌てて東洞がフォローする。
「ふふ、国近さん、妖怪は必ず滅しますから安心してください」
そんな様子を微笑み見守り、陰陽師は瞳を重ね、約束してくれた。
「そうか、良かったよ」
ゆたかがこれ以上苦しむことがないなら…
「なるほど、貴方のオーラが綺麗なままの理由が分かりました」
「えっ?」
「貴方は、人を大切にし、物事に対して、常にまっすぐで、邪な気持ちを抱かない…穢れない訳ですね」
「ですよね!」
大いに頷く東洞。
「どういうことだ?」
意味がわかりにくくて首を傾げてしまう。
「国近さんは、自分に正直でなおかつ他人を思いやる心を合わせ持ってるってことですよ、」
「と言われてもな…」
特別な生き方をしてきたわけではないから、実感がない。
「話は後だ、日が暮れるまでに帰れなくなる」
夜になると霊体の動きが活発になるため早くしっかりとした結界が張ってある家に尊を連れて戻りたい優志。
言葉を挟む。
「あ、はい…続きは帰りながらしましょう、じゃ倉橋先生ありがとうございました、また」
東洞はぺこりと頭を下げて挨拶している。
「はい、お元気で…」
俺と優志も会釈して陰陽師の屋敷を後にする。
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