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《帰り道》

駐車場につき、車に乗りこむ三人だが… 東洞は行きに言っていたとおり、後部座席の俺の隣に乗り込んでくる。 「尊…」 優志はやはり気に入らない様子。 「帰りはいいですよね?国近さんのオーラが凄いことも分かったでしょ優志さん」 東洞は決めつけたように聞いている。 「俺の見える位置にいろ」 険しい顔で止めるが… 「大丈夫です!何かあればすぐ伝えますから」 「何かあるのか?」 東洞の言い回しが気になり聞き返すが… 「大丈夫です!祈祷もしてもらいましたし、何も無いはずなので!」 「いや…大丈夫か?天河守の言う通りにした方がいいんじゃないのか?」 心配してそうすすめるが… 「大丈夫です…」 俺の言葉を聞いて、やや悲しそうな表情をする東洞。 行きは言うことを聞いた東洞… 帰りも…となれば… なんだか可哀想になり… 「ならいいが…」 「はい!」 頷いて隣に乗せてやる…が、 優志の機嫌は最悪だ… むすっとしたまま車を走らせる。 一応、バックミラーの映る位置に東洞を座らせる。 「国近さん、さっきの話の続きですが、国近さんのオーラが綺麗なままの理由は国近さんの性格に大きく関わっているんですよ」 隣に座れたからか、東洞は機嫌良く話し始める。 「あぁ、性格?」 なんとなく気になるため話を聞いてみる。 「はい、負の感情をいだきにくいというか、抱いても長く引きずらないんですね、優志さんに邪険にされてもほとんど動じてませんし」 ちらっと優志をみる東洞。 「フン」 優志は不機嫌に鼻を鳴らす。 「例えば、誰かに馬鹿にされたとか不当な扱いを受けたとします、普通はその禍根が残って、苦手意識もしくはその人を嫌いになってしまうんですが、国近さんは、嫌いになりませんよね?」 「まあ、すぐに嫌いにはならないな、そいつなりの理由があってのことだろうし…」 嫌ったところで良いことはない。

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