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第94話

長旅もようやく終わり、元の駐車場にたどり着いた。 時刻は18時…。 まだ辺りは明るい。 ぐっすり眠っていた東洞は、起こすと清々しい目覚めで、また賑やかに話しはじめた。 「国近さんのオーラに当たってると心地よくて眠くなるんですよ」 などと言いながら笑っている。 うなされていたことなど、起きると微塵も感じさせない。 とりあえず、運転をしてくれた優志に礼を言い、車から降りて帰えろうとすると、東洞が耳打ちしてくる。 「車で少し待っててください」 「あぁ…」 そして東洞は優志の見送りをしているようだ…。 とりあえず自分の車に戻り、東洞が来るのを待つ。 しばらくして東洞がやってくる。 「国近さん、今日うちに泊まって行きませんか?」 「えっ?いや、着替えも何もないし…」 ニコニコしながらいきなり誘う東洞に驚きながら、断るが… 「ですよね、じゃまた今度、泊りに来てくださいね!えっと、少しお話ししたいと思って…お茶だけでもしてきいませんか?」 ニコニコしたまま、お茶に誘ってくる。 「まあ、そのくらいなら」 相変わらずの東洞ペースに流されながらも、頷き車を降りる。 「良かった、どうぞ!」 「天河守に言ってるのか?」 お目付役の存在を気にするが…     

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