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第95話

「いえ、でも優志さんがいると何でも話せなくなりますから…」 やや複雑に首を傾げていう。 「まあ。確かに…」 今日、車でも、度々東洞の話を遮っていた。 「国近さんに食べて貰いたい物があるんです」 不意に瞳を覗きこんで…楽しそうに話す東洞。 「ん?」 「朝、国近さんに食べさせたくて、プリン作りました!」 「プリン?」 「はい、国近さんを見習って料理しようと思ったんですけど、包丁は危ないって優志さんが使わせてくれなくて…それでプリンを…」 やや困り顔で説明する。 「ふ、そうか…」 過保護な、その情景が目に浮かんで、笑えてくる。 「食べてくれますか?」 「あぁ、せっかくだしな」 プリンくらい食べてやる。 「良かった、待っててくださいね」 カップに入った冷えた手づくりプリンを二つ持ってくる東洞。 「どうぞ!」 「あぁ、いただきます」 見た目は普通のプリン、味も… 「はい」 「お、美味いよ」 「ほんとですか!良かった、今日来てくれたお礼といつもお世話になってるお礼です」 やはり無垢な笑顔を向けてくる。

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