95 / 300
第95話
「いえ、でも優志さんがいると何でも話せなくなりますから…」
やや複雑に首を傾げていう。
「まあ。確かに…」
今日、車でも、度々東洞の話を遮っていた。
「国近さんに食べて貰いたい物があるんです」
不意に瞳を覗きこんで…楽しそうに話す東洞。
「ん?」
「朝、国近さんに食べさせたくて、プリン作りました!」
「プリン?」
「はい、国近さんを見習って料理しようと思ったんですけど、包丁は危ないって優志さんが使わせてくれなくて…それでプリンを…」
やや困り顔で説明する。
「ふ、そうか…」
過保護な、その情景が目に浮かんで、笑えてくる。
「食べてくれますか?」
「あぁ、せっかくだしな」
プリンくらい食べてやる。
「良かった、待っててくださいね」
カップに入った冷えた手づくりプリンを二つ持ってくる東洞。
「どうぞ!」
「あぁ、いただきます」
見た目は普通のプリン、味も…
「はい」
「お、美味いよ」
「ほんとですか!良かった、今日来てくれたお礼といつもお世話になってるお礼です」
やはり無垢な笑顔を向けてくる。
ともだちにシェアしよう!