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第96話
「今日の礼はいいけどな、色々ためになったし、陰陽師にも会えたし…」
普通の生活をしていたら陰陽師なんかと出会うことは無いから…貴重だ。
「国近さんが神様の生まれ変わりとか凄すぎです!でも分かる気もします」
「神の生まれ変わりと言われてもなぁ、まず神を見たことがないし…実際に存在するのか?」
「はい、神様はたくさんおられますよ、お社を守る神様から作物の神様まで様々です、でも最近は神様を信仰する人が減ってきて、力を失って下界に…人間の世界に転生する方も多いみたいです、国近さんもその1人だったんですね」
「そうなのか、いまいちピンとこないが、まあお前が言うならそうなんだろう」
邪気のない東洞の言葉は自然と内に入ってくる。
「はい、」
またニコッと微笑む。
本当に子どもみたいに純真な奴だ。
「そういえば、卵は食べれるんだな、お前」
一緒にプリンを食べている東洞を見てふと思う。
「はい、無精卵なら大丈夫なんです」
「そっか、卵が使えるなら料理のレパートリーが増えるな」
「えっ、料理?また作ってくれますか?」
キラキラ瞳を輝かせる。
「天河守がいいって言えばな」
「大丈夫です!説得しますからまた作りに来てください!というか、泊りに来てくださいね」
「そんなに泊まらせたいのな、普通、会社の上司なんか泊まらせたくないだろ」
「なんでですか?国近さんなら大歓迎ですよ」
「変わり者だなお前は…」
和やかな雰囲気…
先ほど気になったことを何気に聞いてみる…
「なあ、ゆずきって誰なんだ?」
「ッ…」
その名前を聞いた東洞は、ビクッと身体を震わせ固まる。
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