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第99話

「尊が、歳のわりに、言動が子どものように感じてしまうのは、心を純真無垢に保つための霊媒師の特徴の一つ、穢れた心では神霊をかからせることが困難になるから、精神発達が一般人よりゆっくりで、子どものような純真さを大人になっても持ち続けてしまうから…」 「そうだったのか…」 いわゆる精神発達遅滞? 確かに東洞は無邪気な子供のような振る舞いになる時がしばしばある。 性格なのかと思ってたが… 仕事の処理能力が遅いのも、霊のせいだけでは無かったのかもしれないな… そう思っていると、続けて話す優志。 「大人なら飽きてしまう牧歌的出来事でも、尊は何度でも感動できるし、好きなものには近付いて行ってしまう…それが、たとえ…過去に酷い目にあったとしても…」 「酷い目?」 「………本心は、お前には尊の前から消えて欲しい…けど、今日、尊の楽しそうに笑う姿を久々に見た…あのことがあってから…夢にうなされ、塞ぎがちだった尊が…生き生きとしていた…」 その姿を思い出すように、息をついて話す優志。 「……」 あのこと? 「俺は、やはり…、尊に笑っていてほしい…」 俯きながら…優志は想いの端を伝える。 「あぁ、そうだよな…」 誰だって悲しい顔より楽しい顔をしているのを見るのが嬉しい。 「お前には話しておきたい…、尊が一般人から受けた仕打ちを…俺が能力を持たない人間を憎む理由を…」 不意に切り出す。 重い口調で… 「……それは、ゆずきって奴が関係しているのか…」 「…あぁ、車で話す、来てくれ…」 表情を落として…頷き、そう促す。 「……ああ」 優志の様子を見て、静かに頷き付いていく。

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