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第101話

『なあなあ、たけるはどこの学校行ってるの?』 『がっこう?』 首を傾げる… 自宅から出たことがない尊には初めて聞く場所。 『うん、小学校だよ、おれは近くの西小学校、たけるは?』 『学校…行ってない…』 『え、行ってないの?学校めちゃめちゃ楽しいよ、友達いるし、先生面白いし、給食はいつもおかわりするんだぜ、たけるも行こうよ!』 本当に楽しそうに話す柚木… 『…行きたいな』 心動かされる。 『何で行けないんだろな?』 『うーん…』 『じゃさ、今から学校見に行く?』 『えっ』 『こっち、こっち近いから!』 悪気なく誘う柚木だったが… 『だ、だめ!』 外に出ることは父親に禁止されていた。 『なんで?』 『勝手に出たらダメだから…それに外は怖いよ…』 怖いものがたくさんいる。 屋敷の外には… 『怖くなんかないよ、色々あって楽しいんだから!』 『そうかな…でも、お父さんに聞いてみる』 勝手には出れないから… 『うん、そうしなよ、今度一緒に見に行こう』 柚木は次第に外へ外へと尊を誘うようになり、柚木の話を聞いて尊も外への憧れを募らせていった。 尊の父親も最初は反対していたが、尊の願いが日増しに募るのを感じていて…     

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