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第104話

そうして、はじめて屋敷の外へ出た尊。 当然、霊体にはまとわりつかれたが、新しい驚きをくれる柚木が尊にはキラキラ輝いて見えていたんだろう、そんなものは無視して、柚木のあとを夢中で追いかけていた。 そんな付き合いが2年ほど続いていた頃… 柚木から小学校を卒業したら次は中学校にいくと聞かされた尊は、中学校に行きたいと願うようになっていた。 優志も、尊の父親も、柚木と遊ぶようになり明るくなった様子と、外に出ても一般人とさほどトラブルが無かったため、送り迎えは優志がつくこと、柚木と同じクラスへ入れることを条件に、尊を中学校へ行かせてやることを許してしまった。 12歳頃の尊の精神発達年齢はまだ4、5歳程度で… 最初、集団行動は、精神発達が遅い尊にとっては難しいところもあったが、柚木のサポートもあり、なんとかみんなについていっていた。 しかし、みんなより行動が遅いこと、覚えが悪いこと、霊に絡まれビクビクしている様子などを同級生が見て、からかわれたり、仲間はずれや、いじめのような状態になることもあった。 そんな時は柚木が庇い、助けてくれていた。 その頃…尊の父親が神霊の降霊術中に亡くなってしまう。     

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