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第127話

『……これ以上、尊に辛い思いをさせたくない…頼む、柚木には会わないでくれ…』 そっと抱き寄せ、心から願う… 尊をこれ以上、傷つけたくない… 『……うん、ごめんなさい』 優志の真剣な心が尊に伝わって… 頷き小さく謝る。 そうして、尊には、しばらく学校を欠席させた。 尊はやはり学校に行きたがったが、柚木と接触する可能性が高い場所に尊を行かせたくはなかった。 けれど、ずっと学校を休ませるわけにもいかず…尊も学校に行けないことでストレスが溜まって来ていて… 送り迎えを徹底することで学校には行かせることにした。 しかし…学校に来た尊に、やはり柚木が絡んでくる。 言葉巧みに誘いをかけて連れ出そうとするが…尊も優志との約束を守って断っていた。 優志も授業が終わる時間に教室まで尊を迎えに行き、柚木に手を出す隙を与えなかった。 しかし…そんなある日。 仲間達の手前、どうしても尊を連れ出さなければならなくなった柚木は… 調子が悪くなったふりをして、尊を呼び出す。 『大丈夫?柚木くん…』 『うーん、駄目かも…ちょっと早退して病院いきたいから尊も付き添ってくれる?』 『つきそう?』 『そばに居て助けてくれよ』 『うん、助ける!柚木くんのこと』 『ありがと、じゃ今から行こう、病院へ…』 『うん』 そう嘘をついて、優志が迎えに来る前に、尊を学校から連れ出すことに成功したのだった。

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