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第143話

その頃、優志はいつものように高校に尊を迎えに行く、授業が終わって教室を確認するが… 『いない!?』 そこには尊の姿はない。 『先生、東洞尊は?』 すぐ様担任に確認する。 『ん?東洞くんなら体調不良で昼過ぎに早退したよ、一緒に早退した、柚木くんが連絡してくれるって言ってたんだがね』 『…ッ』 柚木ッ!! 『おい、』 引き止める先生の言葉など耳に入らないくらい切迫していて… そのまま、駆け出す優志。 『尊ッ!』 柚木に連れ出されたことで、また酷い目に遭わされているんじゃないか… 無事で居てほしい… その一心で… 『探知結界…今一度、その範囲を拡大させ…我と繋がりし、心の臓に宿る結界を持つ者、東洞尊、彼《か》の者の居場所を示せ…』 人差し指と中指に符を挟み天へ向け額のあたりへかざしながら… 人目につかない場所ですぐさま広範囲結界を張って、その検索範囲をギリギリまで拡げ、神経を研ぎ澄ませ、尊を探す優志… 『…かかれ、かかれッ』 しかし…願いは虚しく… 『……ッダメか!クソッ何処へ…』 最初の検索で探知できなければ、一気に捜索は困難になる。 自分を中心にして、円形に張った結界を拡げ探していくため、最初の検索に引っかからなければ、東西南北移動して結界を拡げて探さなければならないから… 手がかりは一つも無い… しかし移動手段、バスか電車なら路線が絞れる。 北か、南か… はやる気持ちを抑えながらも、なりふり構わず、尊を探し始めるのだった。

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