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第150話

尊は数日間、腹痛と精神的ストレスで眠りにつくとうなされ、繰り返し飛び起き眠れなくなり… 柚木の悪事についてもなかなか理解できなくなっていた… そばに付き添い、時間をかけて柚木のした事柄について、ゆっくり教えていった。 辛い事柄を体験して深く傷ついた尊… 分からないながらも、自分なりに整理をつけて… なんとか現実を受け入れていった… そして…1ヶ月後、尊は高校生活に戻る。 柚木はあれから学校には来なくなった… 人祓いの効果か分からないが、柚木はしばらくして何処かへ引っ越して行った… それっきりだ。 あのことがあってから、尊は変わった… 以前のように感情を表に出さなくなり…言葉遣いは敬語になった… 尊なりに…責任を感じて、戒めている証なんだろう… 自分の無知と幼さが、過ちの原因だと思って必死に敬語で取り繕っている。 無理して大人らしく振る舞おうとして… けれど…心の傷は癒えることはなく… 毎晩あの頃の悪夢にうなされて… 俺は、尊が、無邪気に笑う姿を、しばらく見ていなかったから… あんたに見せた笑顔が久しぶりに見た尊の無邪気な笑顔… お前の前では、生き生きして…楽しそうに笑う…昔のように… 「お前なら…尊に笑顔の日常を取り戻させることが出来るかもしれない…」 優志は深く息をつき…そう伝えてくる。     

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