153 / 300
《言えない悩み》
一方屋敷内では…。
国近のいいつけ通り…一人、夕食を食べながらポツリと呟く。
「…国近さんに答えられなかった…柚木くんのこと…」
もう、何年も前のことなのに…まだ夢に見る。
忘れられないあの日…
忘れられない存在…。
柚木くん…
変わってしまった原因は僕…
柚木くんがああなったのは、僕のせい…
僕があの時、ジョーカーが分かるなんて言わなければ…
柚木くんに頼り過ぎていなければ…
僕がもっと判断力ある大人でしっかりしていれば…
全ては僕が幼かったせい。
だから。
大人になる。
そう思って頑張ってきた。
屋敷の中では無知でも良かったかもしれない…
けど…僕は外に出たいから…
外の世界に出たいなら…
無知じゃ…ダメだから…
当たり前の常識を理解して…
みんなに合わせて状況を判断する。
おどおどせず、胸を張って…
自分で考えられる人に…
一人で立ち回れる人になれるように…
少しでも、しっかりしているように見られるよう…いっぱい勉強して、敬語も練習して…冷静に振舞って…
あの頃より僕は、変われた筈…
だけど、まだまだ迷惑かけてる、
一人前と認めてもらえるように…
国近さんにも優志さんにも迷惑かけないように…
子供の僕は、なくしていく…
これからもっとがんばらないと…
国近さんに認めてもらうために…。
ともだちにシェアしよう!