食事を終え、自室に戻る尊… 本棚を見て…一冊、手に取る。 『大人になるために』 立派な大人になりたくて…たくさん大人についての本を読んだ。 礼儀正しく振る舞い、協調性を持つこと… できることはすべてやってきた。 けど… 「これだけは…できない」 『大人の性』 そのタイトルの事柄。 大人の恋愛… 人を愛する方法… 健全な大人の…マスターベーション… 子どもを作るための方法… 射精が出来ないと大人じゃない。 けど、 書いてある通りにしても… ペニスは勃起しないし…射精もできない… ここを触ると… あの人たちにされたことを思い出してしまって… 堪らなく怖くなる。 「僕は…一生、ちゃんとした大人には、なれないのかな…」 でも死ぬまでには、ちゃんとした大人になりたい…心残りは残したくない。 大人の男は勃起して射精するのが当たり前… どの本も、その前提で書いてある。 けど、僕はできないから… もう一度、本を真剣に読む。 【勃起するには性的興奮状態になる必要がある】 興奮する方法に書いてある、女の人の裸の写真を見ても… よく分からないし… 興奮しない… 他に書いてあることは… 【好きな人を思い浮かべて…エッチな妄想をする等…】 好きな人… 僕の一番好きな人は…